271話 強化内容
「首尾は上々のようですね。」
「ああ、上手く騙されてくれたみたいだ。」
「あれって俺いるの?カイトが全部やっちゃったじゃん。」
「保険だろ?あんなことやってるんだし、慎重にやってやりすぎることはないだろ。」
「メイー!どこにいるのー」
「カレンが呼んでいますね。私はこれで失礼します。では」
「カレン、どうしたんですか?」
「どうしたじゃないわよ。学園に行かないと遅刻しちゃうわよ。」
「準備はできているので、少し待ってください。…じゃあ行きましょうか。」
「どこからカバン出したのよ…」
「空間魔法で時空を超えたんですよ。」
「とんでもないってことは分かったわ。」
街では衛兵団の兵舎が襲撃を受けたと噂になっていた。
それは学園でも例外ではなく、皆浮き足立っていた。
「えー、昨日衛兵団の兵舎が襲撃を受けたことはみんな知っていると思うが、心配する必要は無い。学園は高度なセキュリティが張り巡らされているし、衛兵団も警備を強化している。不安がっているヤツがいるなら教えてやってくれ。んじゃ、今日は以上だ。」
そう言うとダニエルは教室を出ていった。
しかし、心配する必要はないと言われても、それだけで安心できるはずもなく、ほとんどの生徒が授業に身が入っていなかった。
「最近物騒だねぇ。」
「アリュールはいつも通りポワポワしてますね。」
「ポワポワってなに?貶されてる?」
「私が悪口なんて言う訳ないじゃないですか。」
「前に先生の悪口言ってたよね。」
「なんの話か分かりませんね。」
「うわぁー、嘘ばっかり…そうだ、今日は研究室に行こうよ。最近行ってなかったからナナちゃんにも会いたいし。」
「そうですね。」
放課後研究室に向かう。
「マスター、アリュールさん、ようこそデス。」
「ナナちゃんおっきくなってる!」
「はい、マスターにボディを換装してもらいまシタ。」
「ふーん。何か変わったの?」
「運動能力や連続稼動時間などが向上しまシタ。」
「スゴいね。変える前の状態でも十分強かったのに、それ以上強くなったってことでしょう?」
「そうですね。実は1番の強化ポイントは魔法が使えるようになったということですね。」
「魔力消費が高すぎて魔法は使えないって言ってたのに使えるようになったの?」
「技術革新というヤツですね。まあ、魔法とは言っても初級魔法程度ですが。あとは、魔刃の威力を強化しましたね。」
「初級魔法でも十分すぎるくらいだよ。魔刃ってどうやって強化するの?」
「魔力の密度をあげるんです。それで斬れ味が変わるんです。」
「へー、よかったね。ナナちゃん」
「ハイ、とっても嬉しいデス」




