27話 王太子
今日はパーティー当日だ。
ついに今日という日が来てしまった。なんで私にも招待状が来ているのやら。王様は何考えてるんだろう?
ウダウダ言ってもしょうがない。行かないといけないんだから。
「メイ、似合ってるわ。あなた、元がいいんだもの、なんでも似合うと思っていたの。」
「カレン、あなたも似合ってますよ。」
「当然よ!私は可愛いからね!なんちゃって。」
「フフ、そうですね。カレンは可愛いですからね。それはそうと、パーティーでは不用意に約束などしないようにしてくださいね。何をさせられるか分かりませんから。」
「分かってるわ。お父様にさんざん言われたもの。」
「それなら良いのですけど。」
「心配しすぎよ。私は大丈夫。」
「そうですね。心配のしすぎは良くありませんね。」
「そういうことよ。」
「それじゃあ二人とも出発しようか。」
このパーティーの主賓は本来なら私だったらしい、それをまだ礼儀を勉強中ということで、急遽主賓が無しということになったらしい。
うわぁー、皆こっち見てる。品定めのつもりだろうか?視線を悟らせるようなやつなんて、こっちからお断りなんだけどな。
王様の挨拶があるみたいだ。
「いつも国のために働いている貴君らのためにこの場を用意した、ぜひ楽しんで行ってくれ。」
あまり堅苦しくないんだ。以外だな〜、すごい堅い話し方しそうだと思ったのに。
金髪の青年がこちらに歩いてきた。
「失礼、あなたがメイ嬢だろうか。」
「はい。そうですがあなたは?」
「私はファイネス・フォン・グラル。この国の王太子だ。」
「王太子殿下でしたか。失礼しました。」
「私が学生ということもあって、まだ陛下は現役でやっていくつもりのようでね。私は対外的なことはあまりしていないんだ。だから、私を知らなくても仕方ない。」
「ご恩情感謝致します。」
「感謝されるようなことは何もしていないよ。…君はカレン嬢かい?大きくなったね。覚えていないかもしれないが、昔会ったことがあるんだよ。」
「そ、そうなのですか?」
「ああ、君の母君は私の叔母だったんだ。だから、叔母に会いによくヘイミュート辺境伯邸に行っていたんだ。そこで、君に会ったことがあるんだよ。」
「お母様の…。」
「ああ、そうだよ。ところで話は変わるのだが、君たち魔法学園に行くよね。」
「そのつもりです。」
「私は高等部の生徒会長をしているんだ。」
ということは17歳か。
「行くなら覚悟していた方がいい。あそこではメイ嬢のような平民をいじめている。私もいじめを無くすために努力しているのだが、なかなか無くならない。」
「問題ありませんよ。子供のイタズラくらい笑って見過ごすくらいの器量はありますから。」
「ははは、そうかい。君は面白いな。私は他の人とも挨拶しなければいけないからもう行くよ。それでは。」
そう言って、王太子は去っていった。
なんだか嵐のような人だったな。