267話 排除行動
「脅威度を上方修正。排除します。」
「やれる物ならやってみろ。」
ナナは棒の先に魔力の刃を生成し、薙刀のような形にした。
「本気モードってワケか。いいだろう。俺も本気を出してやる。」
男は錠剤を大量に飲み込んだ。
「グウ!ガアアアア!!…はぁはぁ、生キテ帰レルト思ウナヨ。」
「全身の筋肉が肥大化、言語障害を確認。」
「シネェェェ!」
「ハァッ!移動速度上昇、筋力上昇。動作の単調化を確認。」
「ブッ壊レロ!」
「これは、魔法デスか。魔力障壁展開。」
男の叫びにあわせて、魔法が周辺を破壊する。
「ウアアァァァ!!シネ!シネ!」
男が再び殴りかかってくる。
最初は避けていたが、徐々にナナの動きに対応していく攻撃に捉えられてしまう。
「ウッ!右上腕損傷。動作に支障が発生。」
「オラァ!」
男の拳を蹴り上げ、刃で足を狙うナナ。
「効カネェヨ!」
だが、男が構築した障壁に弾かれてしまった。
「隙ダラケダ!」
「ガハッ!」
攻撃を弾かれ、硬直した隙を狙われ腹を蹴り飛ばされてしまった。
民家をガレキに変え、ダラりと横たわるナナ。
「魔力機関破損。損傷大破。残存魔力量…測定不能。残り稼働時間、約30秒。フルパワーモードへ移行。残り稼働時間5秒。行きマス。」
砂煙から出たナナは一気に男の懐に潜り込む。
「潰レチマエ!」
だが、男はそれを予想していたかのように、ナナを捕らえた。
ナナの右腕と脇腹を掴み、握り潰していく。
「ホラ、ドンドン壊レテイクゾ。ナ、ナニ!」
ナナは壊れていく自分の事など一切気にすること無く、男の身体に刃を突き立てた。
「ヤ、ヤメロ!」
「排除しマス。」
「ギャアアア!」
「排除完了。残存魔力、0」
そう言うとナナの目から光が消え、倒れた。
ニコラス視点
「ここまで来ればいいかな。早く出ておいでよ。サッサと終わらせよう。」
そうニコラスが叫ぶと、物陰から数人の男が姿を現した。
「キミ達が誰かなんて興味無いけど、僕に危害を加えると言うなら、覚悟した方がいい。伊達に冒険者やっているワケじゃないんだ。」
数分後、男たちは全員気絶して倒れていた。
「フハハハ!この僕に勝てると思っていたのか!!」
「何言ってるんですか。私が来なかったらやられてたくせに。」
「いやー、参ったよね。それにしても、身体能力だけでなく、魔力すら強化するとはね。中毒性や副作用を何とか出来れば正に切り札になるんだけどね。」
「それは難しいと言わざるを得ません。」
「そうだよね。そんな便利な薬があればみんな使ってるよね。」
「そういうことです。」
「コイツら適当にふん縛って、早くナナのところに行こう。」
「そうですね。先行ってて良いですよ。」
「その言葉に甘えさせてもらうよ。」