261話 一緒に遊ぼう
「グールの大群か。いけるかい?」
「当然ですよ。動きも遅い、身体も脆い、魔法を使う訳でもない。あれに負ける想像ができませんね。」
「それじゃあ頼んだよ。私たちは周りに誰か指示をしている人間がいないかの監視だ。」
外に出ると、グール達が門を通ってきたところだった。
「橋を破壊してしまった方がいいんでしょうか。後で聞いておきましょう。」
「グオオ!」
襲いかかってくるグールの頭を砕く。
「いちいち相手をするのは面倒ですね。燃えろ」
火魔法により、グールが突然燃え始め、力尽きた。
「掃除完了ですね。ふむ、見いつけた」
その場からメイの姿が消え、少し離れた塔の上に現れた。
そこには2人の男がメイのことを監視しており、事件の元凶だと判断したメイは確保に動いた。
「うわ!突然出てきた!」
「私と一緒に遊びましょう。」
「丁重にお断りする!」
「では、少し乱暴にいきましょう。雷魔法«エレトリック»」
「「ギャアアア!!」」
「もう少し骨があるかと思ったんですが、そうでもありませんでしたね。」
男たちが気を失ったことで、モヤが晴れ、王都全域を視認できるようになった。
「やはり、犯人で間違いなかったようですね。」
「ただいま戻りました。」
「メイくん、霧が晴れたけど、君がやったのかい?」
「はい。この2人を気絶させるとモヤが晴れました。」
「色々話を聞かなければいけないようだね。」
「この2人のことは任せます。私は王子達を迎えに行ってきます。」
「任せてくれ。そっちは頼んだよ。」
王都の外に出ると、
「あ、メイ。モヤが急に晴れたけど、何があったの?」
「グールが街に出現していて、その犯人だと思われる人物を捕らえました。今のうちに城に入りましょう。」
「グールが?これって幻術じゃないの?」
「あ、それはウソです。危険なモノということ以外分からなかったので、少しウソをつきました。」
「なんだウソだったの。」
「街の人間はどうしている?」
「王城に避難しています。犯人は殿下に引渡しました。」
「そうか、なら早く行かねばならんな。」
「兄上、帰還致しました。」
「おお、よく帰ってきた。この国のために働いてくれるということで、いいのだな。」
「ええ、政治なんてまっぴらだと思っていましたが、罪の無い民が苦しむことを見過ごすことはできません。」
「そうだな。それと、メイ嬢が捕らえた捕虜から聞き出したことなんだが、ヤツらの仲間がこちらに向かっているようだ。ソイツらを捕らえるためにもう少しの間このままにしていようと思うんだが、どうだろうか。」
「兄上、何に手を出したのかソイツらに教えてやろう。」
「やはり気が合うな。」
「うわぁ、悪い笑顔だ…」
「メイくん、うわぁとか言わない。」