26話 メイの苦手意識
ゾワッ!何か寒気が…いったいなんだ?
「どうしたの?何かあった?」
「いえ、少し寒気がしただけです。」
「大丈夫なの?また体調崩した?それとも魔物でもいた?」
「そういう訳ではないんですが。なんでしょうか、嫌な予感がします。」
「まぁ、何も感じないなら大丈夫なんじゃないの?」
「そうだといいんですが。」
本当になんなんだろう?
「カレンちゃん、メイくん、王族主催のパーティーに招かれたよ。」
「私もですか?」
「そうだよ。良かったね。」
「え、また城に行くんですか?」
「そうだよ。すごい嫌そうだね。」
「嫌ですよ。人の事すごいジロジロ見てくるんですよ。それに、ドレス着ないといけないじゃないですか。動きにくいので嫌いなんですよね。」
「まあまあ、そんなこと言わずに。カレンちゃんも行くから護衛だと思えば。」
「護衛はドレス着ませんよ。」
「周りに警戒させないためのカモフラージュみたいな?」
「何故疑問系。」
「後は、そうだね。この前着たのより豪華にしないとね。」
「え、あれよりもですか。」
「当然だよ。あれはシンプルだったからね。」
「あれがですか。」
「そうだよ。カレンちゃんもそう思うよね?」
「ええ、あれではパーティーなんか行けないわよ。」
「うぅ、王様に呼ばれたなら行かないといけないし、憂鬱です。」
「明日職人を呼んで採寸してもらうから。」
「この前もしたじゃないですか。」
「君は子供なんだから成長するだろう?だから、何度も採寸するんだよ。」
「うぅ、やだー!」
「メイ、子供見たいね。フフ。」
「嫌なものは嫌なんですよ。カレンだってピーマン嫌いなくせに。」
「そ、それは関係ないでしょう!」
はぁ、憂鬱だ。
翌日、職人が来る日だ。採寸は、体の隅から隅まで計られる。私、採寸が苦手なんだよね。理由は無いけど、なんかやだ。
採寸が終わった後は、デザインを決める。
なるべくシンプルにって言ったんだけど、カレンや辺境伯が色々口を出したのでどんな感じなのか、私には分からなくなってしまった。
高いお金出すんだし、ヒドイことにはならないと思うんだけど。
数日後、ドレスが屋敷に運ばれてきた。
私のドレスは青、カレンのドレスは赤だった。
カレンのドレス、前のドレスで良かったのでは?
これは、言わぬが花か。
「まぁ、素敵ね。」
「カレンちゃんがこれを着るのか、きっと似合うよ。」
「メイのはこれね。良いじゃない。メイに似合うと思うわ。」
「そうですか?派手じゃないですか?」
「全然派手じゃないわよ。普通よ?」
「貴族の普通が分からないです。」
「後は当日に着るだけだね。」
この前会った貴族は誰も信用できなかった、笑顔だけど心の中ではどうやって相手を蹴落とすかしか考えていないような連中しかいなかった。
このパーティー、気を引き締めなければ。