258話 小さいからってバカにするヤツはバカ
都市国家群を出発してから1週間が経った。
「平和ね。」
「そうですね。最初の数日がおかしかったんでしょうね。」
「あ、魔物」
カレンが見つけた魔物を瞬殺する。
「ホントに私が周りを見張る必要あるの?」
「私は馬を操作しているので、集中が途切れるかもしれないので、やってもらってるんですよ。」
「ふーん。」
そうして、襲ってくる魔物だけを倒しながら順調に進んでいく。
そして、帝国を抜けるまであと1日となったところで、30人程度の大規模な山賊に遭遇した。
「もう少しで王国に入れるのに、なんでこんなところで…」
「国境沿いはどちらの国も討伐軍を出しにくいですから、よく考えましたね。」
「感心してる場合か!」
「私がやりますから、王子は任せましたよ。カレンも騎士の後ろに行ってください。」
「分かったわ。」
巨大な斧を持ったメイが前に出ると、大半が油断し、バカにしたが、残りの数人はメイの危険性に気付いた。
「相手はガキ1人だ!やっちまえ!」
その号令に合わせて20人ほどの山賊が突っ込んできた。
「はあ、もう少し工夫してもらえると、嬉しかったんですがね。」
メイは斧をグルンと1回転させると、次々と山賊をなぎ倒して行った。
「張り合いがありませんね。即死がほとんどですけど、何人かは生きていますね。」
メイが馬車の方を見ると、10人の山賊が馬車を襲っていた。
「私とした事が横をすり抜けられるなんて、失敗ですね。」
「そんなことどうでもいいから、早く助けに来る!」
「そう言う割には余裕ありそうですけどね。」
山賊達は騎士達とカレンの4人と拮抗した戦いをしていたが、メイが乱入したことにより、その拮抗が崩れ、簡単に捕縛することができた。
「ご苦労だった。まさか、国境沿いに大規模な山賊がいるとは思ってもいなかったよ。彼らと少し話をしたいのだが…」
「ハイハイ、私たちは狩りでもしてくるので、勝手に話してください。行きますよ。」
「うん。」
「さて、話をしようじゃないか。」
「ふん、話すことなんざねえよ。」
「そう言わずに、これを知っているか?君の部下が持っていたんだ。」
「それは…それがどうしたんだよ。部下に元兵士が混じってただけだろ?」
「なるほど、大体分かった。」
「なんだと?何が分かったって言うんだ。」
「君たちが帝国の指示で動いているということだよ。」
「ハハハ、何言ってるんだそんなことあるわけないだろう。」
「君は嘘をついているね。」
「あ?」
「何の嘘をついているのか。部下に元兵士が混じっていたこと?それとも帝国軍の指示で動いていること?ホラ、表情が動いた。」
「やめろ!お前の言うことにはうんざりだ!どうせ、山賊は死刑だ。早く殺せ!」
「仕方ない。これ以上聞くことも無いし、死んでもらおうか。」
「彼女達はどうしてる?」
「まだ狩りをしているようです。」
「狩りの結果が楽しみだよ。彼女の処理した肉は美味しいからね。」