閑話
今の話はあまり面白くすることは出来ないので
251話から話の内容を変更することにします。
今回は番外編でお茶を濁します。
「カイト、これ見てよ。」
「ん、どうしたんだ?」
「この前の誕生日にメイがくれたの。」
「これは、指輪か。それにしては変な文字が彫ってあるな。」
「メイお手製の魔法の指輪よ。私が得意な炎属性の魔法の効果をあげてくれるの。」
「ほー、それはすごいな。でもこれ、魔法がかかってあるように見えないぞ?」
「そうなの。この前落としちゃった時に壊れちゃったみたいで動かなくなっちゃったの。」
「はー、なるほど。これは俺の力だけじゃ無理だな。サキにも話を聞いてみないとな。」
「ぐす、せっかくメイが作ってくれたモノなのに、壊れちゃって…」
「あー、泣くなって。直してやるから、な?」
「ぐす、うん。」
「サキー、いるかー?」
「どうしたの?」
「これ直せるか?」
「指輪か、内側に文字が書いてあるのね。この並びは魔法陣を言語化した物かしら?」
「見ただけでそこまで分かるのか。」
「直し方は分かるから、紙に書いて渡しとくわ。私はまだ仕事が残ってるの。」
「おう、任せとけ。」
「カイトがやって大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫、この魔道具もサキが設計して俺が組み立ててるからな。」
「そうなの?」
「サキは不器用だからな。手先を使う仕事は俺がやってるんだ。」
「へー、何か意外ね。見かけによらないのね。」
「おい、それは誰のこと言ってるんだ?」
「誰もカイトのことだなんて言ってないでしょ?」
「いーや、その目が語ってる!俺の事、ただのいじられキャラだと思ってただろう!」
「決めつけるのはやめてよ。メイに言うわよ。」
「…そこで嬢ちゃんを出すのは卑怯だと思うんだ。」
「ん、できたぞ。これで使えるようになってるはずだ。」
「ありがとう!試し打ちしたいから庭に行くわよ。カイトも出来が気になるでしょ?」
「そうだな。」
庭で的に向かって魔法を放つカレン。
「まずは指輪無しでやってみるわ。」
ボンと小さな爆発が起きる。
「うん、ごく普通の威力だな。」
「次は指輪を付けてやってみるわね。」
ドカン!と的は木っ端微塵になり、床にも黒い焦げができている。
「嬢ちゃんはなんちゅうもんを作ったんだ。」
「うん、いいわね。」
「1番威力が弱い魔法でこれって…カレン様、それを人に向けたらダメだぞ?」
「分かってるわよ。メイにも言われたから。」
「そうか、それはよかった。」
「何してるんですか?」
「あ、メイ。指輪を使ってたの。カイトに自慢しようと思って。」
「そうなんですか。カイトは驚いてくれましたか?」
「うん。ちゃんと驚いてくれたわ。」
「嬢ちゃん、これヤバすぎ。これ王家に献上するレベルの魔道具だぞ。」
「あれ?この指輪、最初にあげた時と違うところがありますね。」
「え、そ、そんなことないわよ。ねえ?」
「そ、そうだな。」
「どもってる時点で答えを言っているような物ですが。ここ、ヒビ割れがありますよ。だからあれほど乱暴に扱うなと言ったのに。」
「うう、ごめんなさい。」
「一言言ってくれればちゃんと直したのに、黙っているからこうなるんですよ。」
「うん…」
「次からはちゃんと言うように。カイトは手先が器用かもしれませんが、魔道具の専門家ではありませんから、失敗することもあります。分かりましたね。」
「はーい。ごめんね」
「分かったなら、よろしい。」
その後、メイがちゃんと補修して元通りになったのだった。