25話 その後
短めです。
???視点
クソッ、なんなのだあの強さは!
騎士団がまるで紙のように飛ばされていた。
しかも、あれが本気ではないだと!クソ、これでは我らも正面から戦えば危ないな。まさか人間相手に小細工する羽目になるとはな、しかしやらねばならん。
我らの神を復活させるために。
となれば、まず狙うのは小娘の周りの者か。周りにいる者と言えば、ヘイミュートの小僧の娘か、あの男は命とも言える娘をズタズタに引き裂かれた様を見ればどうなるかのぅ。ククク、今から楽しみじゃ。
お前はすぐに殺そうとするな。
黙れ!お前は黙って儂の言うことを聞いておけば良いのじゃ!誰のお陰でこんなにも上手くいっておると思っておるのだ?
済まない。お前にはもう何も言うまい。
フン!最初からそれでいいのだ!
今に見ていろクズが、利用価値があるから生かしてやっているのだ。お前の野望が叶った瞬間がお前の死ぬときだ。
騎士団長 サイレス・ガイル視点
俺はあの日以来、心の霧が晴れたようにスッキリしている。今では、どうして俺はあんなにも焦っていたのか自分でも分からない。
ああ、あの少女にもう一度会いたい。
会って俺に何をしたのか聞きたい、そして礼を言いたい。
今、俺は最高に調子が良い。全てあの少女と戦った後からだ。
もしかして、あれは伝説の聖女なのでは?
神がもたらしてくれた奇跡なのではないか?
そうとなればこうしてはいられない!
「団長どこ行くんですか?」
声をかけてきたのは、副団長のマリン・シュネイクだ。
「決まっているだろう。あの少女の元だ。」
「何言ってるんですか。あの子のいる貴族街は我々の管轄じゃないし、それにこんなに仕事があるんです。どこにも行かせませんよ。」
「何!しかし…」
「なんですか?なにか文句がおありで?」
彼女は笑顔を浮かべているが、有無を言わせない迫力があった。
「いえ、何もありません。」
この俺が震えているだと。やはり、俺は彼女には勝てないようだ。
「そうですか。なら、仕事をしてください。いつまで経っても終わらないんですから。」
「はい…。」
涙を飲んで、俺は苦手な事務作業をするのだった。
必ず会いに行くぞ俺の女神よ!
狂信者誕生の瞬間。