24話 誕生日会
今日、ヘイミュート辺境伯邸は騒がしい。
何故なら明日がカレンの誕生日だからだ。
いい加減アクセサリーに付与する魔法を決めなければいけないのだが、まだ迷っている。火炎系魔法強化か結界の構築か。うーん、どうしよう?
いっその事両方付ける?でも、干渉したり、効果が弱くなったりするからなー。
あ!あの方法ならできるかも。
その日私は体調を崩してしまった。
「あなたも体調を崩すことがあるのね。」
「あはは、魔力を使いすぎてしまいました。」
「全く、安静にするように。」
「うぅ、分かりました。」
翌日
「メイ、体調は大丈夫なの?」
「はい。魔力切れなので一晩寝れば治りました。」
「そうなの、あなたが魔力切れって何をしたの?」
「秘密です。」
「最近秘密なこと多いわよ。」
「楽しみにしていてください。」
「?」
誕生日会が始まった。
私のプレゼントは赤い宝石はそのままに、指輪をブレスレットに、素材も鉄からミスリルに錬金術で変えたものだった。赤い宝石には火炎系魔法の強化、ブレスレットには結界構築の魔法を付与した魔道具だ。
昨日は鉄をミスリルに変えるときに、魔力を使いすぎてしまったのだ。普通の魔法使いがやると干からびるが、私だと体調を崩すだけで済むという、私の魔力多すぎない?
まぁ、そんなことはどうでもいい。喜んでくれるかどうかが大事なのだそれ以外は些事だ。
「カレン、あなたにプレゼントを用意しました。気に入って貰えたら嬉しいのですが。」
「これは?」
「この前指輪を買いましたよね。それを使って作りました。」
「あれがこれになるの?」
「はい。秘密にしていたのはこれをプレゼントにしたかったからなんです。」
「へ〜、そうなのね。ありがとう!似合っいるかしら?」
「ええ、似合っています。」
「どう?お父様。」
「すごく可愛いよ。」
「うふふ、嬉しいわ。」
「さて、料理が冷めてしまう前に食べようじゃないか。」
「はい。」「そうね!」
料理はいつもより美味しく感じられた。
その夜、辺境伯に呼ばれた私は執務室に来ていた。
「あれはなんだ?」
「なんだとは?」
「あれは魔道具だろ、それも高性能な。もしカレンちゃんがあんなものを持っていると知られればカレンちゃんが危ないだろう。」
「王都では何があるか分からない。だからこそ、身を守ることができる魔道具を渡したのです。」
「あれにはどんな効果が?」
「火炎系魔法の強化と結界の構築です。」
「あれ一つにか?」
「はい。威力が減衰しないよう苦労しましたから。」
「カレンちゃんが気づいていないのもマズイ。」
「あまり見せびらかさないよう伝えます。」
「はぁ〜、何故君はあんなものが作れる?あれは国宝級の魔道具だぞ?」
「練習しましたから。」
「練習したくらいであんなものが作れるものか。と言っても君は本当に練習しかしていないのだろうね。」
「私は才能がある訳ではありません。戦闘の経験、魔法の知識、あとは工夫です。それ以外のことはしていません。」
「全く、それが謙遜ではないのが恐ろしいところだよ。下がっていいよ。」
「はい。それでは。」
キィ、パタン
「本当に恐ろしい子だ。」