240話 背後からの奇襲
森に入る直前、少し作戦会議をした。
「まずは、自己紹介だ。俺はピーター、このパーティのリーダーで前衛での攻撃を担当してる。こっちの髭面がヤーカス、魔法士で攻撃担当だ。こっちの鎧を着てるのはパンス、タンクだな。んで、ローブを着込んでるコイツはサーガだ。魔法士なんだが、索敵や支援、妨害を担当する便利な魔法を使う。」
「その紹介の仕方は色々言いたいことがあるが、とりあえずよろしく。」
「ああ、よろしく。」
「足は引っ張るなよ。」
「…」
「私たちも自己紹介をしましょうか。私はメイ、遊撃担当です。そこの優等生っぽい人はこのパーティのリーダーのフラスで前衛を担当しています。そこのバカそうなのはクレソンで同じく前衛です。双子はアンとミナで魔法士です。攻撃や防御を担当しています。見分け方は、今は知らなくてもいいですね。」
「適当すぎるって。」
「バカって、酷くないか!?」
「師匠、酷くない?」
「クレソンはともかく、他はもうちょっと、言い方無いんですか?」
「さて、いきなり連携をとるのは無理だから、ブレードマンティスの成体を倒すのは俺たちがやるよ。メイさんたちは…周りの幼体を相手してくれ。」
「分かりました。いらないと思いますけど、カバーが欲しければ言ってくださいね。」
「ああ、頼りにしてるぞ。敵は察知出来たか?」
「ああ、この森の奥に大きな魔力を持った存在が潜んでいる。ここからだと、約10分で接敵するはずだ。」
「よし、じゃあ行くぞ。当然だが、油断するな。」
5分ほど進んだころ、
「何だこれは!前方の敵とまったく同じ反応の存在が後ろにいる!」
そう言った瞬間、背後からブレードマンティスの成体が姿を表した。
「どういうことだ!」
「2体いるってことだろ!?」
「言い争いは後だ!後輩に無様な姿を見せる訳にはいかねえだろ!」
「行くぞ!」
「クレソン左から幼体接近!」
「まかせろ!」
「私は勝手に動きます。自分たちで判断できますか?」
「師匠に頼りきりって訳にはいかないですから。索敵は私がします!目の前の敵だけに集中しないで!どこからでも湧いて出てきます!」
「俺たちのことは気にするな。師匠は自分がすべきだと思うことをやってくれ。それが1番効果的だからな。」
「分かりました。」
その様子を見届けたメイはその場を離れ、他の場所の幼体を狩っていた。
「師匠ヤバすぎだろ。俺たちより広い範囲を1人でカバーしてるじゃねえか。」
「余所見してる場合じゃないぞ!的が小さいから狙いにくいな。」
「何体いるかも分からないから、出し惜しみしないといけないし、あのAランクパーティは何してるのよ!」
愚痴を吐きながらも、的確に敵を倒していく弟子たちだった。