238話 弟子たちの集い
「あの後、森に入るの禁止だって言われたせいで生活費稼げなくなっちまった。」
「Sランクの冒険者を招集してるらしいから、その人が到着次第掃討作戦を実施するみたいだよ。」
「それまで俺が餓死しない事を祈っててくれ。」
「オークションのお金はどうしたんだい?」
「まだ半分くらい残ってるけど、何かあった時に使おうと思って置いてる。」
「餓死するレベルなら使わないといけないでしょ。」
「確かに、死んだら使えないもんな。」
「気づいてなかったの?」
「というか、オークションのお金って1億あったんでしょ?何に使ったのよ。」
「俺専用の剣を作ったんだよ。いつまでも店売りの微妙な剣じゃ、長期的に見て高くつくから。師匠みたいな丈夫な剣を作ったんだ。」
「どんな剣か見せてよ。」
「これだ。カッコイイだろ。」
「魔剣じゃないか。どんな効果を付与してるんだ?」
「とりあえず、耐久力と軽量化だ。丈夫な剣ってのは重いけど、それを軽量化で補ったんだ。切れ味は魔力を流し込めばいいしな。使った金のほとんどはこの付与魔法代だったんだよ。」
「ふーん。私たちも専用の武器が欲しいな。魔法の構築速度が上がればそれだけで強くなれる世界だからね。」
「自分専用の武器っていうのはロマンあるよな。」
「確かに、師匠も自分の剣持ってるもんね。」
「ジューンだっけ?カレン様が名付けたっていう話を聞いたけど。」
「あの剣はすごいんだよ。師匠は軽々使ってるけど、俺やカイト兄貴が持ったら重すぎてなんとか持ち上げるのがやっとなんだよ。」
「格が高い魔剣なんだろう。」
「実際、格が高いって言うけど、基準とかあるんだっけ?」
「いや、漠然と高い低いと言われているだけだよ。なんせ下手したら死ぬからね。」
「そういやそうだ。魔剣に認められなかったら死ぬんだったな。」
「その点で不壊の魔剣は安全だよね。重いだけで済むんだから。」
「事故っても指が潰れるだけだからな。比較的安全だな。」
「あれ、あなた達こんな所にいたんですか。探しましたよ。」
「師匠?どうしたんだ?」
「ギルドから招集命令が出たらしいです。なぜか私も含まれてるんですよ。」
「命令?そんな強制できないはずだけど、しかも師匠はFランクなんだろ?」
「そうなんですよ。でも行かないと冒険者資格を永久剥奪と言われました。そんなに重大な事なんでしょうか?」
「さあな、行くだけならいいんじゃないか?」
「色々腑に落ちないけど、行ってみるしかないんじゃないかな?」
「まったく、1度文句言ってやらないと気が済みませんよ。」
こうして、冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドではすぐにギルド長の部屋に通されたのだが、
「メイさんじゃないか!久しぶりだな。」
え、誰?