232話 クラス替え
今日は新学期が始まる日だ。
「今日で私たちも2年生になるのね。」
「そうですね。クラス替えなんかもあるらしいですよ。」
「クラス替えかー、だから最後の方にみんな殺伐としてたのね。」
「私のクラスも少しピリピリしてましたね。」
「メイはピリピリしなかったの?」
「私ですか?私は退学にならないならそれでいいと思ってたので、上のクラスに行っても代わり映えするとは思えないですし。」
「ふーん。メイは私と一緒に授業を受けたくないのね。ぐすん」
「どうせ帰れば屋敷で会うんですから、必要ないですよ。」
「ま、それもそうね。」
ケロリとした顔で納得するカレン。
泣いてたんじゃないのかよ。
「メイちゃん、カレンちゃん、クラス分けが貼りだされたよ。」
「私は変わらなかったわね。」
「私もです。」
「私Dクラスに上がってるよ。メイちゃんと離れちゃったなぁ。」
「剣姫祭で結果を残してたし、アリュールが上のクラスに行くのは当然ですかね。」
「メイちゃんは?メイちゃんも剣姫祭で戦っていたよね。優勝もしてたし。なんで上がってないの?」
「さあ、何ででしょうね。」
「師匠達じゃないか。おはよう。」
「寮暮らしのクセに遅かったわね。」
「ちょっと寝坊しちまったよ。」
「クレソンのクラスはDクラスのままのようですね。」
「ん、そっか。アリュールと一緒のクラスになったのか。よろしくな。」
「う、うん。クレソンくんもDクラスのままなんだ。」
「クレソンの場合は単純に成績が悪かったからでは?」
「それはあるかもな。俺って毎回赤点ギリギリだからな。」
「そういうこともあるんだ。」
Eクラスの教室に向かうと、元々Eクラスの生徒だった者もいれば、Dクラスから来た者だったりと、少し顔ぶれが変わっていた。
席が5つ減っていたが、それは成績が足りず、退学になった者たちのものだということは察しがついた。
改めて、ここが最底辺のクラスなのだと全員が認識することになったのだった。
「座れー、全員いるかー、いなかったら返事しろー。」
相変わらず適当だな。
「去年担当したヤツらは知ってると思うが、初めてのやつもいるから一応自己紹介しておく。ダニエルだ。よろしく。さて、今から学園長のありがたいお話を聞きに行くぞー。」
学園長のありがたいお話はいつにも増して長かった。
なんでこんなに長いんだ?
ってダニエルよ。いびきかいて寝てるんじゃねえよ。
学園長の話が終わり、その日は解散となった。
「メイー、お待たせ。」
「新しいクラスはどうでしたか?」
「何人か顔が入れ替わってたけど、ほとんど変わらないわよ。」
「Dクラスは落ちてきた上級貴族たちが威張り散らしてんだよ。締めたほうがいいかな。」
「クレソンくん、物騒すぎるよ。」
「私の所も似たようなものです。」
「こんなことならクラス替えなんていらなかったな。」
「まあ、もう過ぎたことですから、それを言っても始まりませんよ。」
「分かってるよ。言ってみただけだ。」