222話 許せない
カイトの恋愛編今回で終わりです。
恋愛って難しいね。なんて書けばいいのか分からないよ。
とりあえず、長かった〜
「産まれたことを後悔させてやる。」
「ヘッヘッへ、ぶっ殺してやるよ。」
通り魔は予備の鉈を2本取り出した。
「使い慣れてる方が殺しやすいが、テメェごときこれで十分だ。」
「言いたいことはそれだけのようだな。」
ゆらりとカイトの身体が揺れたかと思うと、一瞬で通り魔の目の前に移動した。
「グギャ!」
鉈の峰で手首の骨を砕く。
「刀の峰打ちってのは普通に斬れるらしいんだが、鉈だとどうなるんだろうな。実験に付き合ってくれよ。」
「ヒ、ヒイィ!」
「次はもう片方だ。」
バキッ!と骨が砕ける音が響く。
「ギャアアア!」
「おいおい、両方の手首が砕けただけだろ?まだまだ実験は続くんだぜ?」
「もう、やめて。お願いします。」
「何バカなこと言ってるんだ。お前は被害者にやめろと言われてやめたのか?なぜ自分の言い分だけは聞いてもらえると思っているんだ。」
ゴキリと鈍い音が聞こえる。
肩の骨が砕かれた音だ。
「ギギギギ!」
「毎度毎度、悲鳴が違うの面白いな。次はどんな悲鳴を聞かせてくれる?」
「ああ、もう、やめてください!衛兵に出頭します!だから!」
「関係ねえって言ってんだろうが。」
また、ボキリと骨が砕かれた。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」
通り魔は何とか逃げようともがく。
「肩よりも先に膝を砕いておくべきだったか。ミスったな。」
「あああ、嫌だ、死にたくない。まだ生きていたい。アガガガガガ!」
「逃げようとしてんじゃねえよ。」
両方の膝を砕かれ、逃げる方法すら失った通り魔は涙を流しながら、震えるしかなかった。
「まあ、いいか。お前の反応にも飽きた。そろそろ死ね。」
カイトが鉈を振り上げた瞬間。
「カイト!何をやっているんですか!」
「ん?嬢ちゃんか。邪魔するなよ。俺はコイツを殺すんだ。」
「やめなさい。この一件は私たちの仕事ではありません。」
「知ったことかよ。」
メイの言葉を無視して鉈を振り下ろそうとした瞬間、
「やめろ…と言ったのが分からないのか?」
強烈な殺気とともに最後の静止がかけられた。
「なんでだ。どうしてとめる!」
「私たちは先日のスタンピードで顔を見られています。これ以上、騒ぎを大きくしないでください。どうせソイツはもう死にます。放っておきなさい。」
「チッ、分かった。…マリアさんは助かりそうか?」
「最初に傷口を塞いだのはいい判断です。これ以上血を流していたら、死んでいました。」
「そうか、よかった。」
「早く帰りましょう。」
「ああ、そうだな。」
その後、マリアが目を覚ましたのは、数日後でいくらかの記憶の混濁が見られたが、それ以外は後遺症も無く、完治した。
「マリアさん、起きてるか?」
「あ、カイトさん。どうしたんですか?」
「この前の返事をしに来た。…ごめん、やっぱりマリアさんと付き合うことはできない。俺たちの事情に巻き込むことはできないから。」
「そう、ですか。覚悟はしてました。そう言われるんじゃないかって。でも…」
「お見舞いにはまた来る。今日は帰らせてもらう。」
カイトが部屋を出たあと、部屋からすすり泣くような声が聞こえたが、誰も聞いていないフリをした。
「告白ってさ。想いをぶつける訳だろ?それってする方もエネルギーを使うけど、される方もエネルギーを使うんだなって思ったよ。」
「恋愛は難しいですよ。力で解決できる戦いの方がどれほど簡単なことか。」
「したこともねえくせに語ってんじゃねえよ。」
「マウントですか。コレだから器の小さい男は。」
「うるせえよ!」