204話 根に持つタイプ
「メ、メイちゃん?」
「どうしたんですか?なんでそんなに距離をとるんですか。」
アリュールが恐る恐るといった様子で声を掛けてきた。
いつもの倍は距離を空けて…
「怒ってないの?」
「何もしていない人に対して怒るはずないじゃないですか。」
「…」
「本当に怒ってませんよ。」
「それなら良かったよ。」
「でも、後悔したくないなら、クレソンごときに負けている場合ではありませんよね。もっと頑張りましょうね。」
「え、やっぱり怒ってる?」
「怒っていません。ええ、怒っていませんとも。」
「怒ってるじゃん!結構根に持つタイプ?」
「いえいえ、善意の提案ですよ。」
「心狭いな」((ボソッ
「聞こえてますよ。言うようになりましたね。これからが楽しみです。」
「冗談だって、ね?何か言ってよー!?」
「で、あんなに走らされてるんだ。アリュール、可哀想に。」
「カレンもやっても良いんですよ?」
「遠慮しておくわ。それよりも、魔装って何?メイと戦ってた人が使ってたアレよ。」
「ああ、そう言えば使ってましたね。」
「アレって危険なの?」
「いえ、魔装が危険なのではなく、闇の力を使用していたため危険でした。」
「じゃあ、魔装のことを教えて欲しいな。」
「そもそも、魔装は魔力で鎧を創るという技術になります。近接戦闘に弱い魔法使いが生み出した苦肉の策というヤツです。」
「ふむふむ」
「鎧なので防御力がアップし、身体能力も若干ではありますが向上します。副次効果として体外にある魔力を吸収することもできるので、普段よりも多くの魔力を扱うこともできます。」
「他には?」
「魔装には属性を付与できるのですが、付与した属性と同じ属性の魔法の威力が向上します。」
「私だったら炎とか?」
「そうですね。」
「おーい」
「アレはクレソンですね。どうしたんでしょうか?」
「よ、師匠。今回は師匠じゃなくてアリュールとカレン様に用があって来たんだ。」
「何かあったの?」
「ギルドから呼び出しだ。同じ学園なんだから知り合いだろって、面識が無かったらどうするつもりなんだろうな?」
「ギルドからの呼び出しだなんて、何かしたかしら?」
「この前のスタンピードだろ?俺たちはオーガ倒してるんだから、Fランクじゃ足りないってことなんだろ。おかしな事になっても、俺が付き添うし心配はいらない。」
「それなら大丈夫ね。」
「そう言えば、師匠はスタンピードの時いなかったな?どうしてたんだ?」
「各方面を1人で守っていた男女がいたって聞いたし、どうせメイたちでしょ?」
「さあ、オーガが怖くて隠れていたかもしれませんよ。」
「1秒で分かる嘘つかなくていいんだよ。」
「メイが怖がる姿を想像できないわ。」
「完全に嘘だよね。」
「ワタシ、ウソツカナイ」
「なんで棒読みなんだよ。」
「メイって普通に嘘つくよね。」
「嘘下手だね。」
「アリュール、一言多いですよ。」