202話 成長
カイト達と情報交換だ。
「え、そっちでは悪魔が出たのか?」
「こっちではいなかったわね。術者はどうしたの?」
「殺しました。悪魔を召喚されると困るので。」
「それもそうね。私の方は適当に捕まえて転がしといたわ。」
「俺の方も同じだ。捕まえて引き渡したぞ。」
「そこから情報が引き出せればいいんですが。」
「どうせ、末端だろう。大した情報は持ってないさ。」
「師匠ー!」
「クレソンが来たみたいですね。門の所で叫ぶなと言っているのに、まったく。」
「カレン様を連れてきたぜ。」
「今日は辺境伯様と一緒にいましたよね。どうしたんですか?」
「ええと…」
「何言ってんだよ師匠。戦場に辺境伯様がいるわけないだろ。」
「戦場…アリュールもいたんですか?」
「ん、おう。居たぞ。」
「この前言ったことは理解されていなかったのでしょうか。アリュール、私は学園にいるように言ったはずだったんですけど、私の勘違いですか?」
「勘違いじゃないです。」
「そうですよね。とにかく、言い訳を聞きましょう。」
「ええとね?危険が無いように戦場に様子を見に行ったのよ。そしたら危なっかしい人たちがいたから助けないとと思ってね?それがクレソン達だったワケなんだけど。」
「私は最初は学園にいようと思ってたんだよ。でも、クレソンくん達が行くって言うから私にも何かできることは無いかと思って、行ったの。もし、クレソンくん達に何かあったら後悔すると思って。」
「師匠、アリュールは俺たちが誘ったし、カレン様は俺たちを助けようとしてくれたんだ。あまり怒るのは…」
「外野は黙ってろ。」
「イエス マム!」
ビシッと直立不動の姿勢をとるクレソン。無意識になるらしい。
「ハア、今回はクレソンに免じて大目に見ましょう。ですが、あなた達は学生であり、Fランクの冒険者なんです。戦う義務はどこにも無い。分かりましたか?」
「義務は無くても、戦うことはあるわ。後悔したくないから。」
「私も、安全な場所で後悔するくらいなら死地に赴くよ。」
「…それがあなた達の選択ですね。それなら何も言いません。」
メイは部屋を出ていった。
「怒らせちゃったかな?」
「怒ってはないと思うぞ。嬢ちゃんは過保護だからな。2人を手助けできる道具でも作ってるんじゃないか?」
「メイさんは、なんて言えばいいのか分からないんだと思うわ。ずっと守ってきたそカレンが自分の意思で何かを決めようとしていたんだもの。」
「そうなのかしら。呆れてものも言えなくなったとかだったらどうしよう。」
「大丈夫、メイさんだもの。明日になれば、過保護なメイさんに戻っているわ。」
「なんか、悪かったな。2人ともFランクだとは思ってなくてさ。Fランクはああいうスタンピードでも、戦う義務は無かったのに。」
「ううん。クレソンくんが謝る必要は無いよ。戦ったのは私の意思だもん。」
「そうよ。それに、クレソンは私たちを守るように戦ってくれたじゃないの。ああいうフォローが1番やりやすいのよ。」
「そう言ってくれると助かるよ。」
クレソンはアリュールとともに寮に帰って行った。