201話 終息
少女が戦っているのを見ながら、待機していると、何かがピカッと光ったと思うとこちらに迫ってきた。
「なんだアレ!」
「退避しろ!」
だが、突然の攻撃に身構えることすらできず、死を覚悟した。
「…あれ?」
痛みはいつまでも襲ってこず、痛みを感じる前に死んだのかと思いながら、目を開けると、
少女が目の前に立っていた。
「うわ!さっきの光は何なんだ?」
「私は先ほどの魔法を放った敵を倒しに行きます。魔物はあらかた倒しましたが、少し残っているので対処してください。」
「あ、ああ、分かった。その、助けてくれて感謝する。」
「いえ、死なれると困るから助けただけです。では」
そう言うと少女は飛びたった。
「空飛べんのかよ。ヤベーな」
「あの少女は何を言っていた?」
少し離れていて話が聞こえていなかったヤツが聞いてくる。
「今見えている魔物は俺たちが倒せってさ。最低でも、時間を稼ぐぞ。南での戦いが終われば、合流できるはずだ。」
「あの少女がいない今、敵を食い止められるのは俺たちだけだ。気合いを入れろ!俺たちが死ねば、その分俺たちの家族が死ぬ可能性が高くなるぞ!」
「「了解!」」
少し心配だが、まあ大丈夫だろう。南側での戦闘も、終わりが近づいていたし、10分ほど粘れば本隊と合流できるはずだ。
問題は目の前にいる存在だ。
「悪魔とはめんどうなモノを連れてきましたね。」
「俺はこの世界の変革のためなら文字通り悪魔にも魂を売るんだよ!」
「あなたの仲間の方々は悪魔を使役できるんですか?」
「どうして仲間がいると思った。」
「簡単なことです。街を取り囲むほどの魔物を使役するには1人では足りないからですよ。」
「なるほどな。確かにそうだな。質問に答えてやる。俺の他には悪魔を使役できるヤツはいない。俺は天才だからな。」
「そうですか。それは安心しました。」
悪魔が使役者の前に飛び出る。
「グオアア!」
「な、何が!」
使役者を倒してしまえば、これ以上悪魔を現界できないので、先に殺ってしまおうと思ったが、邪魔されてしまった。
「契約をキチンと交わしているのですね。時々、自分を悪魔との契約をおざなりにしている人がいるのですが、そんなバカとは違うようですね。」
「当然だ。俺は、努力したんだ。みんなに認められようと、契約術式を見つけたのはそんな時だった。神が俺に世界を変えろと仰っているのだ!」
「ハア、もっと周りを見るべきでしたね。」
「ガハッ!悪魔は…なんで…」
「あの程度、すぐに倒せますよ。少し、話を聞きたくなっただけです。」
術者が悦に浸っている間に悪魔を倒し、心臓を一突きで絶命させる。
「もっと周りを見ていれば、ここまで追い詰められることは無かったのに…」
街に戻ると、冒険者達が駆けつけて魔物を倒していた。
あれは戻る必要は無いだろう。
疲れたので、帰ることにする。
カイトとサキの所にも援軍が来て、敵を倒していっているらしく、2人も帰ることにするらしい。
『あー、こんなに働いたのは久しぶりだな。俺たち、この街の英雄だな。』
『名乗ってないから誰かは分からないけどね。』
『名も無き戦士って感じでカッコよくね?』
「それ、いつもやっていることでは?」
『…確かに』