191話 自分の力
あの後、オーディスからは命の恩人だ!と言われオーディス母からは困ったことがあればいつでも来ていいと言われた。
まったく接点が無いから会うことはほとんど無いと思うけど、はいと言わないと帰してくれそうになかったので、機会があれば来ると言って帰ってきた。
「ただいま戻りました。」
「おかえりなさい。どうだったの?」
「とりあえず、一件落着でいいと思います。」
「そうなのね。アリュールは寮に送ってちゃんと寝かせておいたから心配しないでね。」
「それはよかったです。明日は良くなってるといいんですけどね。」
「戦うのは厳しいんじゃないの?」
「私補欠に入れられてるので、アリュールが抜けると私が出ないといけないんですよ。アリュールが休むなら私も休もうかな。」
「ズル休みはダメよ。」
「明日は予定ができそうな気がします。」
「どれだけ休みたいのよ。」
「お、嬢ちゃんじゃないか。今日、優勝したんだって?おめでとう。」
「ありがとうございます。」
「男の家に行ったって聞いたんだけど、マジ?」
「誰ですかその誤解しか生まない言い方をしたのは。」
「カレン様だけど。」
「少しお話が必要かもしれませんね。」
「手加減してやれよ。」
「それはそうと、カイト、あなたが前に言っていた仇がこの街にいるかもしれません。」
「何?詳しく聞かせてくれ。」
「なるほどな。色々調べてかなり似てるのか。それは怪しいな。」
「はい、今はお祭りの最中なので、学園の周りの警備は厳しくなっていると思いますが、その他の警備は薄くなっているかもしれません。怪しい動きをしている人がいないか調べて欲しいんです。」
「分かった。もし、その犯人がこの街にいるなら絶対に逃がさない。母さんと同じような被害者は出しちゃいけねえんだ。」
「よろしくお願いします。」
翌日
「必ず1位を取るぞ!」
「ダニエル先生すごい張り切ってるね。」
「ワザと負けるのも面白いかもしれませんね。」
「ワザとはダメだよ。」
「冗談です。それはそうと風邪は治ったんですか?」
「まだ万全ではないけど、だいぶ良くなったよ。試合には出られると思う。」
「無理は禁物ですよ。」
「分かってるよ。カレンちゃんは何か言ってた?」
「私に出られると困るから必ず出るようにと。後は舞台の上で会いましょうとも言ってましたね。」
「アハハ、カレンちゃんの秘策はどんな感じか楽しみだよ。」
「良い顔をするようになりましたね。」
「そ、そうかな?」
「前はずっとオドオドしていましたが、今は楽しそうです。」
「そうかな…そうかもね。今、私すごい楽しみなんだと思う。ずっと落ちこぼれって言われたけど、皆のおかげで強くなれて、その力を試してみたいの。」
「今のアリュールなら良いところまでいけると思いますよ。頑張ってくださいね。」
「うん、優勝してくるよ。」