188話 パーンチ
開会式という名のお偉いさんの長話が終わり、試合が始まった。
「私の出番は第2試合ですね。」
「メイ頑張ってね。」
「メイちゃん応援してるからね。ズビッ」
「頼むよ、君にすべてがかかっているからね。」
「適当にやってきますよ。」
メイが控え室に行った後、
「ニコラス教授。」
「これは、ヴァイス教授どうしましたか?」
「貴殿の研究室に生徒が入ったと聞いたので、気になってきてしまいました。見たところ中等部の生徒ですか?ここで良い成績を残せないとマズイのでは?」
「大丈夫です。僕は優勝できると思っています。」
「そこまで自信がおありか、それなら何も言いません。お互い頑張りましょう。」
「ええ、そうですね。」
そういうと、ヴァイス教授は去っていった。
「あの人は?」
「僕に友好的な唯一の教授だよ。あの人は面倒見がよくてね、何かと気にかけてくれたんだ。」
「そうなんだ。」
「それにしても魔法の研究室多いわね。今試合してる人たち両方魔法使いじゃない。」
「魔法は使える人が多いからその分研究者が増えるんだよ。」
「あの人たち弱いね。メイちゃんなら瞬殺だよ。」
「そうね。魔法の展開速度が遅いわね。私の方が速いくらいよ。」
「そういうこと言うのはやめなさい。誰が聞いてるか分からないんだから。」
「あ、終わったわね。見応えの無い試合だったわね。」
「次はメイちゃんだね。」
「あ、出てきたわね。相手は魔技使い?」
「魔力を使って色々する人たちのことだよね。全部完封されて負けそうだな。」
「あそこは確か、ミーザブル教授だったかな?あまり接点が無いからどんな人かは知らないけど。」
「強いの?」
「魔法使い相手なら有利に戦っていた印象だよ。」
私の試合相手は変なポーズをしていた。
魔力の流れ的に魔技を使うのかな?
「試合…開始!」
試合の始まりと同時に突っ込んでくる。
レイを盾にするとすぐさま離れていった。
私が何かすると思ったのだろう。
だが、その判断は正解だ。
レイは触れると身体が瞬時に蒸発するほどの熱を持っている。
それを周りにまき散らさないように抑えているが、内部に手を突っ込めば話は変わる、後には何も残らないのだ。
とりあえず、相手の力量を見るために適当に攻撃する。
さすがに相手を死亡させるのはアウトだからだ。
相手の選手は攻撃を上手く避けながら距離を詰めようとする。
一瞬だけ攻撃を弱めるとその隙を逃すまいと一気に距離を詰める。
「これで終わりだ!」
勝利を確信した相手の攻撃を紙一重で避け、アゴに1発。
「精霊術パーンチ」
「グハ!」
カウンターがモロに入ったようで、立ち上がることができなかった相手は、
「それは、精霊術じゃない…」
と言い残して気絶した。
審判も戸惑っていたようだが、相手は戦闘不能になっているので、メイの勝利となった。
「メイちゃん、なんで最後はパンチなの…」
「クスクス、メイらしいわね。」
「彼かなり防御にも力を入れていたような気がするんだけど、一撃なんだね…」