186話 思った以上の難易度
メイは研究室にあったホワイトボードを引っ張り出してきていた。
「では、まず1つ目ですが、リープアーツの対抗策からですね。」
「あれに防ぎ方があるの?」
「はい、マナスペースという技法ですね。絵で描くとこんな感じですね。」
メイはボードに半円の中心に棒人間を描いた。
「その半円はなに?」
「自分の魔力です。魔力で自分の周囲を囲み、精霊などの干渉を防ぐものです。サキさんは力場と呼んでましたね。」
「魔力って拡散しちゃうよね?どうやって留めおくの?」
「障壁を展開しておきます。この障壁は魔力を通さないようにするだけなので、魔法や物理攻撃を防ぐような機能はいりません。」
「それだけでできるものなの?」
「これが難しいんですよ。維持も難しいですし。」
「そうなんだ。」
「次は«圧縮»と«拡散»ですね。これらを上手く使えば色々な状況に対応できるようになるでしょう。」
「なるほど。」
「では、外に出て実践してみましょうか。」
「分かったわ。」
「あれ、2人ともどうしたの?」
演習場にはアリュールがいた。
「アリュールには内緒よ。」
「え、なんで?」
「アリュールには負けたくないそうです。」
「どういうこと?」
「剣姫祭を楽しみにしていなさい!」
「よく分からないけど、分かったよ。」
「それならいいわ!」
「よくないと思いますけど。」
「では、実践ですね。まずはマナスペースです。」
メイが魔力を放出し、周囲に半径2メートルほどの円を作り出した。
「こんな感じですね。」
「見ただけじゃ分からないわよ。」
「魔力の流れを見るんですよ。」
「魔力の流れね…循環してる感じかしら?」
「そうです。自分の領域を作るように想像してください。」
「こうかしら?それともこう?」
「まずは障壁を作り出して、その中を魔力で満たすという手順です。」
「こんな感じね。どう?できてる?」
「はい、それを維持してください。」
「障壁があるのに魔力が出ていってる気がするんだけど…」
「そうですね。なので私は外に出ていく魔力が最小になるように循環させていたんです。」
「循環させるとなると難しいわね。」
数時間後
「どう?結構形になってると思うんだけど。」
「完璧ですね。それで魔法を使えればもっと完璧です。」
「ここから?キツイんだけど。」
「マナスペースでリープアーツは防げても精霊術は防げませんよ。」
「う、魔力が…」
「今日の所はこれくらいで終わりですね。他の魔法陣もまた今度ですね。」
「なんか頭痛くなってきたわ。」
「頑張りましょうね。」
「……はーい」