185話 名前を覚えるのは苦手で・・・
「ちょっといいか?」
「ん、ダイ〇ン先生じゃないですか。」
「誰だよ!ダニエルだわ!担任の名前を間違えるなよ。」
「何そのパワフルな吸引力がありそうな名前。」
「これは失礼。で、何か用ですか?」
「その事なんだが、お前剣姫祭に出ないってホントか?」
「はい。」
「なんで出ないんだよ。お前なら絶対に勝てるのに!」
「絶対に勝てるから出ないんですよ。楽しくないので。」
「頼むよ、出てくれよー、他の先生方に今年は絶対に勝てるって言っちゃったんだよー。」
「それは自業自得ですね。」
「俺の顔を立てると思ってさ、な?」
「何を賭けたんです?」
ダニエルはギクリとした表情を浮かべた。
「お金?お酒?あ、もしかして風…」
「そ、その話はここではよそう!な?」
「とにかく、賭けの対象になるためにこの学園に来たわけではないので。そんなに勝ちたいなら、アリュールに賭ければいいんじゃないですか?」
「え、私?」
「そんなぁ。」
「その反応は傷つくなぁ。」
「用がないならこれで。」
ダニエルと分かれ、教室に向かっていると、
「メイちゃん、さっき言いかけてたけど、何の話?」
「アリュール、あなたはこのまま純粋に育ってくださいね。」
「なんのこと?」
「さあ?私には何がなにやら。」
「また何か隠してる。教えてくれてもいいじゃん!」
「もう少し大きくなれば分かりますよ。」
「ブー」
むくれるアリュールの頬をつつきながらも、のらりくらりと逃げ続けるメイであった。
研究室では、
「訓練は進んでいるか?」
「はい。形にはなると思います。飲み込みが早いので、何とかなりますね。」
「それならいいんだけど。メイくんは出ないのかい?」
「出ませんよ。アリュールが出られないなんてことにならない限りはですけど。」
「まあ、補欠として登録はしてあるんだけどね。」
「うーん、補欠としてならまあ、許容範囲です。」
「それは良かった。補欠も嫌と言われたらどうしようかと思ってたんだ。アリュールくんは今どうしてる?」
「自主練しているらしいです。私を驚かすと言ってました。」
「それは、微笑ましいね。君たちのおかげで、僕の研究も進んでいるんだ。」
「それは良かったですね。」
ニコラスと話していると、カレンが部屋に入ってきた。
「ここにいたのね。メイ、頼みがあるの。」
「何ですか?」
「アリュールみたいに強くなりたいの。今のアリュールと戦ったら負けちゃうわ。足を引っ張りたくないの。」
「分かりました。ただ、理解しておいて欲しいのが努力もせずに強くなるということはできないということです。」
「当然理解してるわ。」
「では、3つほど魔法陣を教えましょう。上手く使えば役にたつはずです。」
「ありがとう、メイ!」