季節SS ハロウィン編
「メイ、どうかしらこれ?」
「なんでそんな格好してるんです?」
カレンは頭にネジが刺さったいわゆるフランケンシュタインの格好をしていた。
こっちの世界にもいるの?
「なんでって、モンスターフェスティバルだからよ。」
何その変な祭り。
「そ、そうですか。似合ってますよ。」
「メイも仮装しましょう。」
「結構です。」
「そんなこと言わずに、ね?」
カレンが手を叩くと、メイドたちが服と化粧品を持って部屋に入ってきた。
準備いいな、おい。
「こんなに大掛かりにやらなくてもいいんじゃないですか?」
「大丈夫だって、ちゃんと可愛くしてあげるから。」
「いや、話聞いt…「ハイハイ、おしゃべりはやめてください。お化粧ができませんからね。」」
誰も話聞いてくれんやん。
あれやこれやと手際良く準備が整えられていく、メイドたちの顔が怖すぎて、抵抗なんてできなかった。
「できましたよ。」
そう言われ鏡を見ると、ネコ耳とシッポのコスプレをしていた。
なぜにネコ?
化粧に関してはいつもより顔色が良くなっているだけだった。
私の顔は元がいいからそんなに変わらないらしい。
自慢かって?自慢だよ。羨ましいだろ。
「きゃー!かわいい!やっぱりメイに似合うと思ったのよ!」
なぜかカレンの膝の上に座らされていた。
私の方が少し小柄ではあるけど、重いでしょ。
すごい頭を撫でられる、ネコちゃうねん。
「いや、そんなに撫でなくても。」
「私、ネコを飼いたかったんだけど、お父様に言われて飼えなかったの。だからメイがネコの格好してくれて嬉しいわ!」
ネコのコスプレはカレンの趣味だったらしい。
カイトとサキがやって来た。
サキは慈愛の眼差しをこちらに向けているが、カイトは笑いを我慢しているらしい。
ケンカなら買うぞコラ。
「嬢ちゃんてネコってキャラか?虎じゃね?」
「いいのよ、ネコで。可愛いから。」
「嬢ちゃんが可愛い…?嘘だろ?」
「カイトの目は節穴だったみたいね。」
「だって、嬢ちゃんだぞ?俺がいつもどんな目に合わされてるのか知ってるよな?」
「それはカイトが悪いんじゃない。」
「猛獣のシッポを踏んだカイトが悪いのよ。」
「私のこと何だと思ってるんです?」
「「悪魔」」
ハモるなよ。
「何言ってるのよ。メイは天使みたいなものじゃない。」
天使もよく分からん。
「そうだ、2人も仮装しましょう。」
「「遠慮しておく」わ。」
息ピッタリだな。
カレンが再び手を叩くと、今度は大勢のメイドが現れた。
最初からこうするつもりだったのか。
サキは先導されて行ったが、カイトは引きずられて行った。
「なんで俺だけこんな乱暴なんだよ!」
「ど、どう?」
サキはゾンビのコスプレだった。
所々ほつれたり、破けたりしている服と肌が青白く化粧されている。
破れてるところがちょっと際どいのはあえてなのか?
「キレイね。用意しておいて良かったわ。」
「ちょっと恥ずかしいわ。」
カイトが出てきた。
これはちょっと、扱いが酷くないか?
「カイト、似合ってるわね。じゃあ、解散で。」
「もうちょっと俺に触れろ!もっとあるだろ!」
「だって、大の大人がそんな格好してるのは見ていられないし。」
「俺だっていやだったわ!なんで俺が悪いみたいになってんだよ!?包帯でグルグル巻にしたのはアイツらだろ!?」
そう、カイトのコスプレはミイラだった。服脱がせられて包帯が巻かれている。
「うん、もう少しちゃんとしたもの用意するように言っといてあげるから、今日はもう休みなさい。」
「こんなのってないよ!」
今度からもう少し優しくしてあげようと思った、3人だった。
モンスターフェスティバル・・・ある旅人が魔物の集落に迷い込んだ時、魔物のマネをしたら助かったという伝説に基づいている。魔除けも兼ねた祭り。