183話 大丈夫かな、コイツら
こんな小説を読んでいるなんて、さては暇人だな!w
「では、ルゥ手伝ってください。」
『しょうがないわね。』
「まずは意識を同調します。今回はルゥが私の中に入ってくる感じでお願いします。」
『分かったわ。』
2人が目を閉じ、呼吸を合わせると、ルゥがメイの身体の中に溶け込むように消えていった。
「これで同調が完了しました。もう良いですよ。」
『これだけでいいの?』
「アリュールにやらせるので、ここから先はまだいらないだけです。」
『なるほど。次はアリュールと同調すればいいのね。』
「同調ってどうすればいいの?」
「呼吸を合わせればいいです。精霊との親和性が高いので、同調だけなら苦労しないと思います。」
「そうなんだ。ん〜〜、ルゥ来て。」
『やっぱり契約してる相手とはやりやすいわね。』
ルゥはアリュールの身体の中にツルンと吸い込まれるように入っていった。
「私の中にもう1つの感情があるみたい。」
「それがルゥです。その感覚を忘れないように。出てきてください。」
『ハイハイ。』
「では、もう一度私と同調してください。」
ルゥがメイの身体の中に入りこむ。
「難しいのはここからなんですが、今精霊の力は私の中にあります。それを表面に出すことで、目に見える状態にします。だからこそ纏うと言われています。」
「なるほど。」
「では、手本なんですが、見たいですよね?」
「うん。当然だよ。メイちゃんでもできないの?」
「出来はしますが、手間取るかもしれません。まあ、見たいと言うならやりますよ。」
「しっかり目に焼き付けるよ。」
メイが力を込めると、皮膚にヒビのような傷ができた。
「ク…」
「メイちゃん!血が!」
「大丈夫です。フッ…!」
さらに力を込めると青いモヤがメイの身体を覆った。
「大丈夫なの!?」
モヤが消えると、青い服を着ているメイが立っていた。
「フード付きの服?オシャレだね。」
「これはイメージしやすいように服の形に変えただけです。自分がやりやすいように身体に纏わせることができます。」
「そんなことより、制服が血まみれだよ。ホントに大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。すでに傷は治しましたし。」
「でも、血は増やせないんだよね。」
「出血量は多くないので問題ありません。私は親和性も高くありませんし、ルゥと契約も結んでいないので、こうなってしまいしたが、コツは掴んだので次は大丈夫ですね。」
「ホントに?無理しちゃダメだからね?」
「分かっています。」
「じゃあ、次は私の番だね。ルゥ、来て。」
「基本はルゥに任せていれば出来るはずです。その感覚を忘れないようにしてください。」
「分かった。」
アリュールの身体の中に入ったルゥは何とか精霊纏を試みているようだが、中々上手くいかない。
『こう?それともこうかしら。』
「痛い!痛いよルゥ!」
「はぁ、精霊は基本大雑把ですから。ルゥ、魔力を辿って出てきなさい。」
アリュールの身体に触れ、魔力を流す。
『こっちね!』
「痛いって!」
「もっとゆっくりやりなさい。」
そんなこんなで精霊纏を発動できた。
その姿はローブと杖で魔法使いを連想させる格好だった。
「どう?かわいいでしょ。」
「はい。似合ってますよ。あまり苦戦しませんでしたね。」
「そうなの?結構痛かったんだけど。」
「痛いで済むのはマシな方です。」
「そうなんだ。私ってやっぱり天才?」
と調子にのるアリュールを血走った目で観察しているニコラスを見て不安に駆られるメイであった。