幕間2 今日はあかりの日らしい
ちょっと長め
10月21日はあかりの日!エジソンが電球を作ったらしい。
ある日の真夜中、突然灯りが消えた。
「あら、どうしたのかしら。真っ暗で何も見えないわ。」
カレンは種火の魔法を指先に灯し、廊下に出た。
「屋敷中の灯りが消えてるの?」
屋敷にはまったく光は無く、暗闇が支配していた。
「なんか怖いわね。」
カレンは使用人達を探して廊下を歩き出した。
「誰かいないの?おかしいわね。いつもならこの部屋にいるはずなのに。」
少し心細くなったカレンは誰かいないかと屋敷の中をくまなく探した。
「みんな〜、どこよ〜。グスン」
その時、カレンの肩に手が置かれた。
「!!きゃーー!」
「うわ!アッチ!火を振り回すな!危ないだろ!」
「ってカイトじゃない!他の皆はどこにいるか知ってる?」
「ん、ああ。食堂に皆集まってるぞ。何が原因か見てこいって俺だけ追い出されたんだ。」
「カイトの扱いは相変わらずね。」
「そうだろ?ヒドイよな。」
「メイは?」
「嬢ちゃんはいなかったぞ。どうせ、これも嬢ちゃんの仕業だろ。実験のせいで時々やらかしてるからな。」
「え、そうなんだ。」
「上手いこと隠してるが、何度も失敗してやらかしてるぞ。俺はそれの手伝いをさせられてる。」
「カイト…パシリね。」
「パ、パシリじゃあねぇし!お願いを聞いてあげてるだけだし!」
「そうね。そういうことにしておくわ。今どこに向かってるの?」
「それは置いといて、多分原因は魔道回路がショートしたことが原因だと思うから。地下室向かってるぞ。」
「魔道回路?前にメイが言ってたような気が…」
「魔道回路は灯りの魔道具を灯すための魔力を通す回路だ。屋敷中に張り巡らされてるんだが、その大元が地下室にあるんだ。」
「ふーん。じゃあ、それで明るくなるのね。」
「壊れてなければな。嬢ちゃんがどれくらいの魔力を流したかもよるな。」
「もし壊れてたらメイにガツンと言ってあげなきゃ!」
「そうだな。あ、ここだ。滑りやすいところもあるかもしれないから気をつけろよ。」
「うん。」
カツーン、カツーンと歩く音が響く地下室、ヒンヤリとした空気は不気味に感じられた。
「上よりも怖いわ。」
「ここは元々牢獄だったんだぜ。」
「え?」
「この地下室はその牢獄を改造してできたんだ。そんなところにあるからか、夜な夜なうめき声が聞こえてくるんだ。」
「そ、そんなの嘘よね?私を怖がらせようとしても、ダ、ダメなんだから!」
「あ゛〜」
「ヒィ!?」
「ん、なんだ?」
「カカカカ、カイト!何よこれ!」
「あー、なるほどな。ほら、幽霊いただろ?」
「そ、そんなのどうでもいいわよ!は、早くここから出ないと!」
「んなこと言っても、大元は向こうだからアッチに行かないといけないんだよな。」
「い、今はそんなのいいわよ!」
「でも、俺怒られちゃうし。」
「私が言ってあげるから!早く!」
カレンの目には涙が溜まっていた。
「えーでもなアグ!」
「何カレンを泣かせてるんですか。」
「メイ!いつここに?」
メイは被っていた、マスクを取りながら答えた。
「いつも何も2人が来る前からここにいましたよ。」
「イツツ、さっきのうめき声の主は嬢ちゃんだよ。マスクを被ってる時は声がくぐもって聞こえたんだ。回路の修理でもやってたんだろ。」
「はい。さっき終わりましたよ。」
メイが魔力を送ると屋敷中の灯りが一斉に灯った。
「灯りってありがたいわね。私の火だとあんまり大きくしたら燃えちゃうもの。」
「そうですね。」
「それにしても、さっきのお嬢様の反応は、凄かったな。」
「〜〜〜!カイトのバカー!」
「ごめん、ごめんて。」
「カイト、後で話をしましょうね。」
「……………はい。」
死の覚悟をしたカイトだった。
その後、灯りが消えたのはメイのせいということが分かり、しっかりお説教されたメイであった。
「めでたしめでたしで……終わらないですよね。はい。」
カイトの断末魔の叫びが真っ赤に染まった空に響き渡ったのだった。
ネタ切れなので、少しの間休みます。
ホントは昨日そう書くつもりだったのに忘れてたせいで、急遽この話を作ったのは内緒。