181話 嘘発見器
商業ギルドという物がある。
名前の通り、商売を行っている人が入っているギルドだ。
だが、商人だけの組織ではない。
大陸中に展開しているという特性を利用して、銀行の役割も担っているのだ。
お金を入れた箱を台車に載せ、商業ギルドまで歩いていく。
「なんか、どこからか視線を感じるぜ。」
「誰も私たちがお金を持ってるなんて知らないんですから、気にしすぎですよ。」
「でもさ、怖いじゃん?」
「大丈夫ですよ。こちらに視線を向けている人はいませんから。」
「それだといいんだけどさ。」
商業ギルドに着き、受付にいく。
「何か御用ですか。」
「はい、私の口座から彼らの口座にお金を移したいんです。それと彼は口座を持ってないのでそれの開設と振り込みですね。」
「いくらですか?」
「それぞれ5000万ゴルドを移したいです。」
「えっと、ご両親の口座ですよね?」
「私の口座です。」
「…分かりました。少しあちらで事情を聞いても?」
「はい。」
応接室のような部屋に案内され、少しするとおじさんが1人入ってきた。
「単刀直入に聞くが、犯罪に関わったりしていないだろうね。」
「はい、なんの関わりもありません。彼らの仕事による正当な報酬です。」
「そうか、高額な振り込みや引き出しは事情を聞かないといけない決まりになっていてね。それとそこの彼は口座を作りたいとか、すぐに対応しよう。」
「あ、ありがとうございます。」
「それとその箱は何かな?」
メイが箱を開けると、
「本当に犯罪には関わっていないんだよな?」
「彼らは冒険者なので、発掘品を売って得たお金です。何もやましいことはありません。」
「そ、そうか。」
「これらはすでに半分に分けてあるので、それぞれ2人の口座に振込みたいんです。」
「承知した。」
その後はクレソンの口座を作って、お金を振込むだけなので、すぐに終わった。
「私の口座はすっからかんになってしまいましたね。」
「俺らの口座はホクホクだけどな。」
「というか、なんであんな直球の質問したんだろうな。あんなの嘘ついたら意味なくね?」
「嘘発見器があったに決まってるだろ。俺たちの席の後ろに嘘発見器があって、嘘をつくと光るようになってるんだ。」
「ふーん。でもさ、師匠はなんでバレなかったんだ?普通にアウトだろ」
「自分の身体くらいコントロールできなくてどうするんですか。」
「うーん、意味がわからん。」
「そんなことができるのは師匠くらいだよ。」
「あ、そうだ、師匠。はい、これ。」
「なんですか?」
「師匠が倒したゴブリンキングとゴブリンガーディアンのお金だよ。」
「別にいらないので2人の物にしてください。」
「でも、お金無いんだろ?」
「どうせもう少ししたら給料兼お小遣いとして数百万ゴルド渡されるので、問題ありません。」
「そうなのか。」
少しショボンとしているクレソンを見たメイは、
「では、そのお金で何か奢ってください。」
「ん、そうか。じゃあ今から市場に行くか!」
「急に元気になったね。」
その後、市場の露店で買い食いを楽しむことにしたのだった。
「ん、これ美味!」
「もっときれいに食べろよ。」
気ずかいが出来る子それがメイちゃんw