19話 買い物
村から出た私たちは全力で領都まで移動した。
どうやったって?カレンを担いで私が全力で走ったんだよ。
「うえ、き…気持ち悪い。ウプッ。」
「カレン大丈夫ですか?」
「あなたのせいでしょう!?」
「心外ですね。最も速い手段で移動しただけなのですが。」
「それがダメなのよ!」
領都に着いた私たちは辺境伯に魔族のことを話した。
「なに?魔族が?分かった。騎士を数名派遣しよう。」
「ありがとうございます。」
「今の君の手を煩わせる訳にはいかないからね。」
翌日、騎士を送ってから、辺境伯と私、カレンの三人で王都に行くことになった。
「何故カレンまで。」
「それは、友達の勇姿を見るためよ!」
「まあまあ、知り合いは多い方が心強いじゃないか。」
「それはそうですけど。」
こうして王都に私たちは出発したのだった。
王都の途中の街ヒラースに着いた。
「盗賊とか出るのだと思っていましたわ。」
「この街道付近は騎士団が守っているからね。盗賊なんてそうそう出ないよ。」
「この街はどんなところなのでしょうか?」
「ここは交通の要衝でね、色々なものが国中から集まって来るんだ。それを見るために貴族が来ることもあってね、良い宿もあるんだよ。」
「今日はここで泊まるんですか?まだ明るいのに。」
「明るい間に次の街へ着けないからね。」
「なるほど。」
「お店に行ってみたいわ!」
「出店に行ってみませんか?何か掘り出し物があるかもしれませんし。」
「そうね、それも楽しそうだわ。」
「行くなら気をつけて行くんだよ。」
「メイくん、カレンちゃんをよろしくね。後、これお小遣いだよ。」
「ありがとうございます。任せて下さい。」
二人で出店に繰り出した私たちは、アクセサリーを売っている店にいた。
「どう?いいのあった?」
「微妙な物ばかりですね。ぼったくりではないんですが少し高いと思います。」
「そうなんだ。うーん、何か良いものないかしら?」
「そればっかりは運ですからね。」
「あ、これは?」
アクセサリー屋の横の出店を見ていたカレンから声がかかった。
彼女が指していたのは、赤い宝石の着いた指輪だった。
「これは、おじさんこれいくらですか?」
「それかい、100Gだよ。」
「高いです。50G。」
「そんなに安くしちゃ食っていけないよ、90G。」
「なら60G。」
「いやいや80Gだ。」
「そうですね、70G。」
「75Gだ、これ以上安くはしねぇ。」
「これくらいが妥当ですね。はい。」
「毎度あり。」
「なんだったの、あれ?」
「値切りですよ。ああいう所は相場より高く値段を書いているんです。だから値切って適正な値段にして買うんです。高級店でしちゃダメですよ。」
「へ〜、そうなんだ。それ、何かあるの?」
「今は秘密です。」
「何よ教えてくれてもいいじゃない。」
「女には秘密がある方が魅力的なんですよ?」
「はぁ、いつか教えなさいよ。」
「はい。私は目当ての物を手に入れる事ができたのですけど、どうします?帰りますか?まだいますか?」
「もう帰るわ。何が良いか全く分からなかったんだもの。なんだか疲れちゃったわ。」
「フフ、そうですか、なら帰りましょう。あまり遅くならないように。」
翌日王都に向けて出発した。
王都か領都より大きいんだろうな。
何も知らない私は、楽しみにしながら王都へ向かうのだった。
とりあえず1章完結です!
2章に続く!