177話 ゴブリンキング
「じゃあ気を取り直して15層目指していくか。」
「そうだね。」
前回到達した14層までは何の問題も無く行くことができた。
「15層って何か強いのいるのか?」
「門番がいて通れないんだってさ。」
「そうなのか。」
15層に行き着いたとき、そこには両開きの大きな扉があった。
「この中にいるのか?」
「そうみたいだね。」
「ヤバくなったら逃げられるよな。」
「そうじゃないと敵の種類は分からないままだよ。逃げられると思う、多分。」
「なんで最後に多分とか言っちゃうかな。」
「うるさいなぁ、いいから行くよ!」
「ヘイヘイ」
扉に手を当てると、大した力も入れていないのに両方の扉がギギギギと音を立てて開いた。
中は完全な暗闇だったが、入らないことには進みそうもなかったので、警戒しながら入っていった。
中に入ると扉はひとりでに閉まり、完全に閉まった後部屋の中の松明がついた。
灯りに一瞬、目が眩んだが奥にいたゴブリンキングなどを見てすぐに臨戦態勢にうつった。
「どう行くんだ。」
「ゴブリンガーディアンは防御に特化した能力なんだ。だから一撃でその防御を破壊できれば勝てる。キングを狙え、ヤツらは避けられない。」
「了解だ!」
思い切り跳躍し、振り下ろす。
「白銀流«流星落とし»」
ガーディアンは持っていた武器でそれを防いだ。
だが、武器は折れ、腕も使えなくなっているようだ。
「やったぞ!」
「追撃して!キングが回復してる!」
「何!クソ!他のヤツらが邪魔で倒しに行けないぞ!」
「コッチもダメだな。もう一回いけるか。」
「行けるぞ。」
「お前が攻撃した後は俺が他のヤツらの攻撃を防ぐ、だから確実に一体倒してくれ。」
「了解!」
「もう一回だ!白銀流«流星落とし»!」
攻撃を受けたガーディアンは下がろうとするが、それを許すはずもなく、他のガーディアンは無視して、追撃する。
それを見た他のガーディアンは助けに行こうとするが、大きな鎧を着ているため鈍足であることとフラスの強力な一撃を受けないようにするため中々助けに行けなかった。
「フラス、倒したぞ!」
「ナイスだ!」
追撃された個体は逃げようとしたようだが、先回りされ首を両断されて絶命していた。
「硬いんだよコイツら!しかもキングが回復するしさ!」
「もう一回行くぞ。」
数が減り、その後は護りに綻びができていたためかなり簡単に倒していくことができた。
「残りはキングか。」
キングは興奮したようにフー、フーと鼻息が荒かった。
どう動くのか、観察していると、その巨体からは考えられないようなスピードで、突っ込んできた。
「ヤッバイ!」
ギリギリ横に跳んで事なきを得たが、当たっていればタダではすまなかったかもしれない。
「結構速いな、でも速さだけなら負けない!白銀流«刹那»」
高速で近づき、斬りつけたが、その手応えはよくなかった。
「ダメだ!倒せてない!ブヨンて感じで跳ね返された!」
「何だと、斬ってダメなら突いてみよう、完全に万能な防御なんてない!白銀流«一角»」
剣を相手に突き刺し、捻りあげて斬り裂く。
だが、これも致命傷にはならないようだ。
キングはチクチクと攻撃してくる人間を払うため手を振るったが、それがフラスに当たってしまった。
「フラス!」
「大丈夫だ。だが、動けそうにない。」
壁に叩きつけられたフラスは立ち上がったが、動けそうにはなかった。
「斬っても、突いてもダメなら潰すだけだ!」
クレソンはキングの攻撃を避けつつ、技を出したがそのどれもが致命傷になることは無かった。
「回復はズルいって。」
そしてもっと最悪なことに、ゴブリンガーディアンが復活したのだ。
「はあ?時間経過で復活するのかよ。そういうのは最初に言っといてくれよ。」
何発も技を繰り出したクレソンは疲れきっており、攻撃を避けることはできそうに無かった。
「もうダメかも。」
壁際に吹き飛ばされ、袋叩きにされる。
攻撃に合わせてガードしているが、長くは持ちそうにない。
「クッソ」
懐から転がり落ちた小さな球を見て、
「師匠…」
と呟くと、
「はい。」
という声が聞こえてきた。
声が聞こえた方向を見ると、
「師匠!」
「何度も言わなくても分かっていますよ。まったく、世話のかかる弟子達ですね。」
そこには何故かメイがいた。