173話 鑑定結果2
「あー、なんか頭がくらくらするな。」
「さて次ですが。」
「もっと間をあけるとか無いの!?」
「無いです。この宝石はちゃんとどうするか決めないといけません。」
「これそんなに価値が高いのか?」
「国宝級の魔道具に使用されるような高純度の魔宝石です。」
「あー、師匠はこれ欲しいのか?」
「欲しいですね。ただ、これを貰うわけにはいきません。ちゃんと適正価格で買いますよ。」
「ちなみにいくら位か聞いても?」
「1億はいけると思います。なんならもう少し吹っかけても大丈夫ですね。」
「億…だと…!」
「これを国に献上すれば爵位がもらえますね。」
「oh」
「スケールが大きすぎて分からなくなってきたよ。そんな物を師匠にあげるって言うのは師匠が困るな。」
「ちなみになんだけどよ。師匠は1億出せるのか?」
「準備が必要ではありますが、かき集めれば何とかと言った所でしょうか。」
「なんでそんなに持ってるの?」
「お金を稼ぐためにパイプを作ったんですよ。最近は何もしていなかったので、少し準備がいるんですよね。」
「パイプて、商工会とかじゃないの?」
「それもありますよ。1番の取引相手ではありませんが。」
「うわー、これ以上聞くのはやめておくわ。なんかヤバそう。」
「さあ、どうでしょうか。」
「オークションはリスクとかあるのかな?」
「変な大人に狙われます。」
「と言うと?」
「1億以上の大金を持った子どもなんです、騙してやろうとか、奪ってやろうと思う輩は必ずいます。主催者側も隠そうとしますが、どこからか漏れることはよくあります。」
「なるほど、師匠ならそんなことはないと。」
「他の人に教える必要も無いので、漏れません。」
「これ2つあるけど、2つで1億だよな?」
「いえ、1つで1億です。」
「ファ!?」
「師匠、2億いける?」
「さすがに無理です。」
「じゃあ、一個はオークションに出さないといけないのか?」
「置いといて私がもう一度1億稼いだ時に渡すというのもありですよ?」
「それ何年かかる?」
「最低5年ですかね。」
「長いなー、もうちょっと早く欲しいな。」
「そうなるとオークションに出した方がいいです。」
「普通に売るのはダメなのか?」
「買い叩かれるので却下です。」
「でも俺たちどうやってオークションに出品するかとか分からないよ。」
「それは、私がやりますよ。ツテがありますから。」
「じゃあ俺たちは師匠に任せた後は何もしないでいいのか?」
「1度相手側と会ってもらうかもしれません。人を見て判断する人なので。」
「え、大丈夫なのか?」
「私がいるんです、変なことにはなりません。」
「それならいいけど。」
「準備ができたら会いに行きますから、死なないようにしてくださいね。」
「それはもちろんだ。」
「じゃあ、またね、師匠。」
「はあ、あまり会いたくはないんですが、仕方ありません。弟子のためですね。」
去っていく2人とは反対方向に歩いていくメイの顔に笑顔は無かった。