171話 なんだこれ?
「「ぎゃあああー!?」」
ゴロゴロと大きな岩が転がってくる。
「なんであんなのがあるんだよ!罠とか無いって聞いてたんだけど!」
「イレギュラーはどこにでもあるものさ。」
「黙ってろ!」
「ホントのことを言うとこの通路は今まで誰も通ったことが無かったから何があるか分かって無かったんだよね。」
「役に立たなねえな!」
「あの陰に隠れよう。」
「そうだな。」
ゴロゴロと転がっていった少し後にドカーンと衝突音が聞こえた。
「あのまま走ってたら潰されてたな。」
「うーん、コッチ見てみな。」
「ん?なんだよ急に…見なかったことにしていい?」
「俺もそうしたいけど、無理そうだ。」
そこには大量のゴブリンがこちらを向いていた。
「あれってさ。ゴブリンシャーマンリーダーだよな。」
「1層で出るゴブリンシャーマンの上位種だな。」
「何度も言うけどさ、なんであんなのがいるんだ?」
「イレギュラーは「もういいから。」」
「キエエエ!」とリーダーが奇声を発すると一斉にゴブリンが襲いかかってきた。
「まずは頭を潰す!手伝ってくれ!」
「これめっちゃ強化されてるんだけど!スゲー硬ぇ!」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!」
「仕方ねえ、道は開けてやる!失敗したらタダじゃ置かないからな!」
「白銀流«龍牙»もういっちょ!白銀流«流星の煌»」
その一撃で前方にいたゴブリンは倒され、その周りにいたゴブリンも吹き飛ばされた。
「ナイスだクレソン!白銀流«穿の刃»」
フラス一撃はゴブリンシャーマンリーダーを貫通し、背後に大きな穴を作った。
「装備が良いやつもいたし、この道に来たやつはコイツらにヤられたんだろうな。」
「そうだね。早く回収して帰ろう。疲れたよ。」
「…なあ、これさ、奥に部屋があるんじゃないか?」
「え、どれ?」
「ほら、お前が空けた穴の奥だよ。」
「本当だ。光が漏れてる。」
「壊してみるか。結構硬いな。ヨイショ!」
ガラガラと崩れた壁の向こう側からはレンガ作りの部屋があった。
「漏れてた光はランタンの光だったか。いい物があればいいけどな。」
「扉があるし、行ってみようか。」
「なんだよこれ。」
扉の奥には研究室のような部屋があった。
「お宝は!?期待したのに!」
「まあまあ、色々見てみよう。」
「これ、師匠に見せれば喜ぶんじゃね?なんか研究してるみたいだし。」
「それなら持って帰ろうか、大した荷物じゃないし。」
「後は、これは金庫か?あんまりいい物は無さそうだけど、開けてみるか。」
「どっかにパスワードは無いかな?」
「壊せばいいんじゃね?」
「変な罠があったらどうするのさ。」
「確かに。兄貴はそれで死にかけたことあるって言ってたし。」
「カイトさんか、また今度会いに行こうか。」
「そうだな。」
「あ、これじゃないか?」
「やってみようか。…あ、開いた。中には、宝石か?」
「俺らには判別つかねえし、師匠に見せようぜ。魔力があるなら師匠は欲しいって言うと思うし。」
「そうだね。鑑定士に依頼しても信用できるか分からないからね。」
「じゃあ、帰ろうぜ。ホントに疲れた。」
「アハハ、そうだね。部屋に帰ったらすぐに寝ちゃいそうだよ。」
二人はダンジョンの外に出てると、まだ昼過ぎだったことを知り、肩を落とすのだった。