156話 赤い眼の悪魔
鎧男視点
「まったく、あんなヤツらの手を借りなければいかんとはな。」
「しかたがありません、将軍。そのおかげで今も命があるのです。」
「認めたくはないがな。吾輩もまだまだということだ。」
「将軍!後ろから赤眼の少女が追いかけて来ていると!」
「あの者なら後ろの兵士どもを見捨てるとは思わなかったが、どうしたのだろうか。」
「そんなことを言っている場合ではありません!何とかしなければ!」
「どうしようもできん。どうせ、立ち塞がった兵士以外は無視しているのだろう?狙いは吾輩だ。吾輩を置いていけ。」
「確かに将軍が狙いだとは思われますが、そんなことはできません!将軍がいなければ帝国はさらに荒れてしまいます。」
「だが、吾輩と一緒にいれば貴様らも危険だ。将来有望な兵を死なせる訳にはいかん。」
「我々の出番がもう一度来たようですね。」
「貴様らか。業腹だが、頼らざるを得ないようだ。」
「とことん嫌われていますね。…仕方ありませんか。」
「だが、貴様らで勝てるのか。」
「ヤツは我らの同胞を殺しています。その報いを受けさせなければ。」
「そうか。任せる。頼んだ。」
「ええ、お任せください。……行け、お前たち。」
男がそう言うとその背後から二つの影が飛び出した。
「赤い眼の悪魔…か。」
メイ視点
逃げられる前に鎧男にマークを付けていたが、徐々に近づいている。
何度か待ち伏せされた。
死兵となって攻撃してきた。
狙いは鎧男なので戦闘不能にすればいいだけなのだが、殴ったくらいでは倒れてくれない。
一度強めに殴ったら首の骨折れたし。
治したりするのも時間かかるんだよ。
まあ、私の移動速度が馬なんとかとは比べ物にならないから距離は縮まってるのが何よりの救いだ。
これは相手が見えないから心折れるよ。
そこから進んでいると、近づいてくる二つの気配を感じた。
「また足止めか。」
二つの気配を視認した時、目を疑った。
真っ黒なモヤだったのだ。
「え、幽霊か何か?」
そのモヤは私に纒わり付いてきた。
そのモヤが肌に触れる度、力が吸い取られる感覚があった。
「鬱陶しい!」
聖術«聖光»
発動場所を私にすることで、私に纏わについていたモヤを弾き飛ばした。
弾き飛ばされたモヤは人型になり、地面に落ちた。
「魔族だったか。なら、手加減は必要ないな。」
魔族達は自ら仕掛けてくることはなく、距離を取り防御の構えを見せた。
「帝国と魔族は繋がっているようですね。何を考えているんです?」
「…」
「無視ですか。まあ、いいでしょう。」
返答をする気が無いと見たと同時に敵に詰め寄る。
防御の構えをしていても反応出来なければ意味が無い。
「さようなら。」
一人の魔族を刺殺し、もう片方を
グシャッ!と頭を地面に叩きつける。
上級魔族が私に負けたのにあの程度の魔族が私に勝てるはずがない。
完全に足止めのための囮だったのだろう。
思ったよりも時間を稼がれていたらしく、気配感知の範囲外に逃げられてしまった。
今回は作戦負けのようだ。
夜&魔力強化により目がぼんやりと光っているため赤眼が印象に残っている。