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149話 敵の正体

血が飛び散り、鉄臭い匂いが充満する中、私たちは情報の整理をしていた。

「もう少し遠くですればよかったわね。臭くてかなわないわ。」

「慣れたとはいえ、あまり嗅ぎたくない匂いですよね。」

「その歳でこの匂いに慣れるってどんな人生をおくってきたのよ。」

「そっくりそのままお返ししますよ。」

3歳しか違わない癖に何を言っているのか。

「それはともかく、あまり詳しい内容は知らなかったみたいね。時間の無駄だったな。」

「確かにそうですね。辺境伯様に帝国兵が内部まで工作しに来ていると注意を促すくらいですかね。」

「結界を張るのでさっさと寝ちゃいましょう。」

「旅する時はメイさんが一台欲しくなってきたわ。」

「一台って。」



一夜明け、出発する。

「今日の夕方にでも着くと思うわ。」

「あれ?来るときはもっとかかってたと思うんですけど。」

「乗ってる人が一人だけだし、急いでるから速いのよ。」

「なるほど。また、兵士が襲ってくることもあるかもしれませんから警戒しないといけませんね。」

「そうね。それはメイさんに任せてもいいかしら、私より索敵範囲広そうだし。」

「分かりました。それは任せてください。」



その後は何もなく、領都まで着いた。

「何も無くてよかったわね。」

「屋敷に急ぎましょう。」

「そうね。」


「セバスさん!」

「サキさん、それにメイさんまで、どうしたのですか。」

「実は魔族が動いているということを聞きまして、加勢に来たのです。」

「それはありがたいですが、学園はどうされたのですか。」

「休んできました。なのですぐに解決して帰ります。」

「分かりました。これを持って行ってください。」

「これは?」

「旦那様にお渡しする書類です。今から送るつもりだったのですが、あなた方にお渡しします。これを陣の兵士に見せれば案内してくれるはずです。」

「何から何までありがとうございます。」

「礼には及びません。旦那様のためになると判断したまで、私の判断を間違いにしないでくださいね。」

「もちろんです。」

「行くわよ。メイさん。」



陣に着くとどんよりとした雰囲気が漂っていた。

戦況は芳しくないらしい。

書類を見張りの兵士に見せ、中に入っていく。


「くそ、数だけでなく質も向こうの方が上だというのか?」

「はい、身体能力が人間のそれではないと。」

「敵はどうなっているんだ。」

「領主様。」

「サキくん…とメイくん、何故ここに?」

「魔族が一枚噛んでいるということを聞いたので。」

「私はメイさんの手伝いです。」

「魔族だと?敵が異様に強いのはその性か、クソ。」

ここまで荒れている辺境伯は初めてだ。

「魔族は私が対処します。」

「その前に、誰が君に魔族のことを教えた?」

「それは、ごめんなさい言えません。」

神様に教えてもらったなんて言えるわけないだろ。

「そうか、分かった。」

「敵は悪魔憑きだとも言われました。」

「悪魔憑きだと?なんだそれは。」

「悪魔憑きは魔界に住む悪魔が人間に憑依したものです。憑依した悪魔と適合した場合、その悪魔の権能を使用することができます。」

「悪魔憑きは強いのか?」

「はい、彼らは高い身体能力と強い生命力を持っています。ですが、代わりに判断能力や記憶力が低下し、目の前の敵を倒すこと以外は疎かになります。」

「つまり、罠に嵌めやすいということか。」

「はい、指揮官を始末できれば、必ず成功するでしょう。」

「全軍に通達、相手は人間ではなく魔物だと思うように伝えろ。」

「了解しました。」

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