147話 出発
聖神からのメッセージを受けた私は次の日、学園をしばらく休みたいと申し出た。
「で、お前のおじいさん代わりだった村長が危篤だから、休みたいと。」
「そうなんです。一目でも会いたくて、グス。」
「お前そんなキャラじゃないだろ。」
「キャラって、やめてくださいよ。」
「涙はどうした。」
「おっと、グスングスン。」
「完全に嘘泣きじゃねぇか。」
「ダメでしょうか。」
「お前の場合、ダメって言っても聞かなそうだから止めない。でも、期末試験で赤点とったら容赦なく留年させるから、それでいいなら好きにしろ。」
「ありがとうございます。村長のお見舞いに行ってきます。」
「それ、まだ言うんだ。」
屋敷に戻った私はカイトにカレンへの伝言を頼んだ。
「カレン様への伝言は任せろ。後、情報収集が必要だろ。サキを連れて行け、シグルの情報収集担当だからな。」
「大丈夫なんですか?最近、色々やっているみたいですけど。」
「ちょっとの間くらい保てなくて怪盗なんてできねえよ。心配するな。」
「分かりました。ありがとうございます。」
「礼はいらない。俺たちからの恩返しだ。」
サキと馬車に乗り、ヘイミュート辺境伯領へと向かう。
「サキさんって馬車を動かせたんですね。」
「そうなの。カイトって動物に好かれなくてね。その代わりに私が馬車を動かせるように練習したの。」
「いい相棒ですね。」
「からかわないでよ。矢面に立つのはいつもアイツなんだからこれくらいしてあげないと平等じゃないってだけ。」
「ふーん。」
「なにニヤニヤしてるのよ。」
「別に。仲が良さそうで何よりです。」
「兄妹なんだから当然じゃない。」
「そうですね。」
「何よその優しい笑みは!」
「うんうん、分かってますよ。」
「何なのよー!?」
サキと雑談をしながら進んでいくと、
「何よこれ!橋が落ちてるじゃない!」
「これは、燃やされてますね。」
「ここから先は馬車を使えないわね。」
「犯人が出てきたようですよ。」
ガサガサと茂みをかき分け十人ほどの男が出てきた。
「ホントどこにでもいるわね。」
「大人しくしろ、抵抗しないなら命までは取らねぇよ。」
「ふむ、皆殺しにするつもりでしたが、気が変わりました。色々、話を聞かせてもらいましょう。」
「何?」
土魔法«地盤振動»
「うわ!?」
サキには当たらないように調整し、魔法で賊を気絶させる。
「瞬殺ね。」
「やはり、魔法の知識って重要ですよね。さっきのもジャンプすれば避けれたのに。」
「そう問題なの?」
土魔法«地盤振動»・・・地面を振動させて周りの敵に衝撃を与える魔法。タイミングよくジャンプすれば避けられる。