142話 そんなわけないだろ!
「君たち!待たせたね。今日はダンジョンに行くぞ!これで僕の研究も進むと言うものだよ。フヒヒヒ!」
これはあれだ。
研究のことになると頭がおかしくなるやつだ。
「さあ、行くぞー!」
「「オー!」」
「メイも一緒に、オー!」
「オ、オー」
「ノリが悪いわね。」
「人前でする気はおきないですよ。ここ、ダンジョンの前ですからね?」
ダンジョンのすぐ近くには広場があり、他のパーティや屋台などがあった。
「私たち完全に浮いてますよ?」
「そんなの分かりきってたことじゃない。気にすることはないわ。」
カレンって変なところで度胸があるというかなんというか。
とりあえず話が進まないのでダンジョンの中に入って行く。
「中はひんやりしてるのね。」
「洞窟なんて初めて入ったよ。」
「足下に気をつけなさい。こんなゴツゴツしたところで転ぶのはかなり痛いからね。」
「地面はしっかりしてますね。これなら思い切り踏み込んでも大丈夫そうです。」
「ゴブリンがいるわ。どうするの?」
「僕に任せたまえ。なんか最近ツッコミ以外まともにしていない気がするから、ここで僕のスゴさを見せてあげよう。」
何故だろう。何故あんなにも情けなく見えるのか。
「メイ?どうして後ろを見てるの?何かいた?」
「いえ、後ろから襲われないか見張ってただけですよ。」
どこにでもバカはいるものだ。
あの程度の実力で私たちを襲おうなんて無謀すぎる。
帰ってくるときに生きてたら冒険者ギルドに引き渡すか。
幸運を祈ってるよ。
意気揚々とゴブリンを倒していくニコラス、
「さあ、あの広間を抜けた先に精霊の泉だよ。」
「なんかありそうね。」
「勘がいいね。そう、あそこにはゴブリンシャーマンがいるんだよ。この階層にはいなかった飛び道具使いが出てくるから、少し難易度が上がるんだよ。」
さっさとシャーマンを倒す。
「瞬殺だったね。」
「ダンジョンって破壊できないはずなのにボロボロなんだが。」
「結界を張るんじゃないんですか?」
「結界を張るのはシャーマンキングだな。もしかして倒したことがあるのか!?」
「い、いや、そんなこと無いですよ。シャーマンは結界を張るって聞いたからそう思っただけで…」
「ふーん、そうか。誰に聞いたのかな?」
「し、知り合いの冒険者ですよ。」
「ほう、冒険者か。シャーマンキングを倒したことがあるのは数百年前の勇者パーティ以外はいないのだが?そしてそれが記された文献は貴族でも見れないようにされているのだが?」
「な、長生きしてる人がいたんじゃないですか。」
「そうか、そうか。ってそんなわけないだろ!」
「ほら、命からがら逃げてきたとか。」
「そんなことがあればもっと大騒ぎしている。まったく、いつどこで倒したんだ。」
「だからたおしてない…」
ニコラスにジロリと睨まれる。
「まあ、いい。後で聞かせてもらうからな。」
「ホントなんですけど。」
「メイって嘘下手なの?目が泳いでるわ。」
「そんな!?」
ゴブリンシャーマンキングはメイの実家の近くにあったゴブリンの巣にいました。(瞬殺された)