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前世で魔法使いだった俺、異世界で美少女になる  作者: マーベ
5章 研究都市の変人
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139話 劣等感

あの日からアリュールは私を避けるようになった。

研究室にも顔を出さなくなり、話す機会がなくなってしまった。


「ダニエル先生から聞いたけど、君たちケンカしてるんだって?早く仲直りしたまえ。このままではダンジョンに行けなくなるよ。」

「アリュールに話しかけようとしても逃げられちゃうんですよ。」

「何かしたのか?」

「一回怒鳴りましたけど。」

「本当に一回かい?実は何度も怒鳴ってたり。」

「しませんよ、そんなこと。大声出すのは疲れますから。」

「まあ、いいや。逃げられるなら一度捕まえてみるのもありだと思うけどね。」

「捕まえるですか。」

「もちろん乱暴ダメだよ。捕まえた後はゆっくり話をすればいい。」

「そうですね。今のままだと困るのも確かですし、やってみます。」



「アリュール。」

声をかけるとクルっと向きを変え、離れようとする。

やっぱり避けるなぁ。

ちょっとめんどうに感じてきたし、ここは助言通り実力行使でいくか。

「岩よ」

私がそう唱えた瞬間、アリュールの周りを岩が取り囲んだ。

「何これ!?…メイちゃんの仕業だね。」

「逃げるのが悪いんですよ。」

「に、逃げてなんかないもん。」

「さっき私のこと避けましたよね。」

「さ、避けてなんかないし。それで、何か用。」

「あの時は大声を出してごめんなさい。だから前のように…」

「あの時の試合を見て思ったの。私、メイちゃんといていいのかなって。だって私は何もできない。友達なのに何もしてあげられない。」

「何かしてほしくて友達になったわけでは…」

「これはただの自己満足だって分かってるでも、私が納得できない。これをといて。」

「…」

「早くして…」

私は何も言えず、去っていくアリュールの背中を見ていることしかできなかった。



やっぱり、前世の自分と何も変わっていなのだと痛感した。

人の気持ちが分からない。

自分の気持ちが分からない。

殺し合いばかりしていた俺には何もかもが分からない。



「メイ。」

「…カレン。」

「メイがそんな顔してるなんて初めて見たわ。」

「どんな顔ですか。」

「そうね。もう少しで泣きそうな顔かしら。」

「そんな顔してるんですか。ハハハ、情けないなぁ。」

「そうね。情けないわ。私の親友でしょ、もっとシャンとしなさい。心配しないで、私がアリュールと話して来るから。」

「大丈夫なんですか?」

「大丈夫よ。私、アリュールの気持ちが分かるもの。」

「?」

「メイも自分よりスゴい人と友達になれば分かるわ。」

「…そう、ですか。私よりスゴい人なんているんですかね。」

「言うようになったじゃない。それくらい小生意気な方がメイらしいわ。」

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