幕間 独白
メイの前世の話です。本編が進むことはないので過去の話が嫌いな方は読まないことをおすすめします。
「ねぇ、メイ。どうしてあんなに怒ってたの?」
「昔、色々あったんですよ。まさか、私が剣術流派の師範になるとは思ってもいませんでしたが。」
「ふーん。今は聞かないでおくわ。話したくなったらいつでも話してよね。」
「ありがとうございます。」
「お礼なんていらないわ。いつもお世話になっているのは私の方なんだから。」
流派か。師匠は許してくれるだろうか。
ん?師匠なんていのかって?
いたのは前世の頃だったけど、いたよ。
どんな話か知りたいって?
じゃあ、話してあげよう。
大昔の話だけどね。
私が通っていた道場は真刀流って名前の流派だったんだ。
人を守る時以外剣を抜いてはならないなんて決まりがあるような流派だった。
10人くらいの弟子の中でも私は一番強かった。
次期道場主にって話もあったりしたんだ。
私もそのつもりだった。
でもある日突然、魔法が使えるようになってしまった。
私は恐れた。
家族同然の仲間や師匠から化け物だと言われてしまうのではないかと思ってしまった。
あの人達はそんなこと言わないと自分に言い聞かせても、一度吹き出した疑念は消えてはくれなかった。
私は姿を消し、同じく魔法が使える者たちと出会った。
そこからは殺し合いだった。
殺し殺され、私たちの仲間は常に入れ替わった。
戦場では、何人もの人間が力尽きていた。
私は人を殺しすぎた。
初めて人を殺したとき、私は真刀流を名乗ることをやめた。
私にはその資格が無いと思ったし、私の剣は人殺しの剣になってしまったからだ。
それに未練を断ち切るという目的もあった。
私はまだ、あの場所に帰りたいと思っていたのだ。
こんな私が弟子を持ち、白銀流なんてものを作ることを師匠や他の仲間達は許してくれるだろうか。
どうだい?おもしろくなかっただろ?
前世の私は常にこんな感じさ。
もしかすれば、あの頃が私の最も幸福な時期だったのかもしれない。
さっきはあのバカ共に少し言い過ぎたかもしれないな。
次は少しくらい優しくしてやってもいいかもな。