134話 貴族嫌い
冒険者ギルドに登録した翌日、研究室に足を運んでいた。
「ニコラス先生、いますか?」
「どうかしたかね?」
「昨日冒険者ギルドに登録してきました。」
「そうか、休日に行くことになるが、問題無いか?」
「問題は無いんですけど、実はもう一人連れていきたい人がいるんです。」
「誰だ?」
「カレンっていうAクラスの子なんです。」
「ということは貴族か、大丈夫か?」
「大丈夫です。礼儀正しいですし、私たちとも友人として接してくれる子なので。」
「えっと、途中に通るゴブリン迷宮は安全だと聞いたので、一緒に行きたいんです!」
「本人は今日の放課後にでも研究室に来て、許可をもらいたいと言っていました。」
「なるほど。一度会ってみて、僕の言うことが聞けないようならば、断ることにする。ダンジョンは浅い層でも何が起こるか分からない。油断できない場所なんだ。そこで勝手に動かれては守りきれない。」
「その通りですね。」
「ちなみにその子は戦えるのか?」
「実戦は初めてですね。魔物狩りについてきたことがあるので、魔物を見ただけでパニックになることは無いと思いますけど。」
「カレンちゃんはすごい魔法が使えるんですよ。入試のときも的がドロドロに溶けるような魔法を放っていたんですよ。」
「ほう、的が溶けたとは、それなりの威力があるようだな。実力的には問題無いようだが、どうなるかな。」
放課後
私たちは研究棟の前でカレンを待っていた。
「メイ、アリュール、お待たせ。」
「ううん。待ってないよ。」
「では、行きましょうか。」
「何か緊張するなぁ。」
「普段通りなら大丈夫ですよ。」
「そうだといいんだけど。」
「ニコラス先生、朝に言っていたカレンが来ました。」
「入ってくれ。」
「君がカレンか。」
「ええ、そうです。」
「ダンジョンに行きたそうだが、僕の指示に従えるか?」
「もちろんです。経験豊富な方に従うのは当然です。」
「うーん。敬語はやめてくれ何だか鳥肌が立ってきた。」
「どうして?」
「その取ってつけたような敬語が気持ち悪いんだ。まあ、君なら一緒に来ても大丈夫だと思う。参加を許可しよう。」
「やったわ!メイ、アリュール!」
「よかったね!カレンちゃん!」
「だから大丈夫だと言ったんですよ。」
「じゃあ、予定が空けば伝えることにするからそれまで少しの間待っててくれ。」
「分かりました。じゃあ、今日はこれで帰りますね。」
「メイ君、彼女は本当に貴族なんだよな?」
「そうですけど。」
「貴族なのに、あんなに礼儀正しいなんて、信じられないよ。聞きたいことはこれだけだ。お疲れ様。」
「はい。失礼します。」
「さて、用事も終わりましたし、クレソンとフラスに話を聞きに行きましょうか。確か寮にすんでいましたよね。」
「今から行くんだ。」
「はい。アイツら、事の次第によっては許さない。」
「メイが…敬語を忘れている!?」