132話 冒険者ギルド
あの後放課後に集まり、冒険者ギルドに行くことになった。
「メイ、お待たせ。」
「じゃあ、行きましょうか。」
「何だかワクワクするわね。」
「何度も言いますけど、本物の冒険者は英雄譚とは違いますからね。」
「分かってるわよ。メイのご両親に聞いてるもの。」
「メイちゃんの親は冒険者だったの?」
「そうよ。ってどうしたの?」
「両親が冒険者だったことを今初めて知りました。」
「何で知らないの!?」
「昔の話とかしないんですよ。特に気にならなかったし。」
「無関心にもほどがあると思うんだ。」
「メイは昔からこんな感じよ。自分の興味が無いことはまったく知らないのよ。というか、知る気がないみたいな?知識の偏りがすごいのよ。」
「それはすごい。」
「何がすごいのかまったく分からないんですが。」
剣と盾が描かれた看板のある建物に着いた。
「ここが冒険者ギルドね。思ったよりも大きいわね。」
「ここは大きな街だから建物も大きいんだよ。」
「そうなのね。早速入るわよ!」
中には受付嬢(男性もいる)が数人と冒険者パーティと思わしき装備を身につけた人がいた。
「人少ないわね。」
「まだ、依頼をこなしている時間帯なんじゃないかな?もうそろそろ帰ってくると思うけど。」
「そうなのね。じゃあ、登録しましょうか。」
正面にいた受付嬢に話しかける。
「冒険者登録をしたいのだけど、どうすればいいのかしら?」
「では、この用紙に名前と年齢、普段使っている武器の種類を書いてください。」
「…書けました。」
「私も書けたわ。」
「ふむ、変更するには料金が掛かりますが、これでよろしいですね?」
「はい。」
「私も問題ないわ。」
「それでは少々お待ちください。」
そう言うと受付嬢は奥へと歩いていった。
それから少しして、奥から戻ってきた受付嬢の手には二枚のカードがあった。
「これが、お二人の冒険者証になります。内容を変更したり、紛失したりすると料金が発生しますが、あらかじめご了承ください。」
「分かったわ。」
「次に、冒険者ギルドでの規則についてですが〜〜〜」
長かったので要約すると、最初はFランクからスタートし、依頼をこなすとランクが上がる。失敗し続けるとランクが下がることもある。
冒険者同士の争いは基本的に関与しないが、犯罪を行うなど目に余る行為をすると干渉することもある。
犯罪を犯すと冒険者登録は抹消されるとかギルドの中で武器を抜かないとかこまごました規則があったが、常識から外れた行為をするなということだ。
「これが冒険者証なのね。みんなFランクからなのね。戦闘能力の試験があればメイならすぐに高ランクにいけるのに。」
「ランクは信用度だから、どんなに強くても最初はFランクなんだよ。」
「ふーん、そうなのね。」
「それに、ランクが離れすぎるとパーティが組めなくなっちゃう。」
「それはダメね。メイとパーティが組めなくなると困っちゃうわ。」
「精霊の泉に行くには何て名前のダンジョンを通るんだっけ?」
「ゴブリン迷宮ですね。」
「なんだお嬢ちゃん達、精霊の泉に行きたいのか?」
ギルドの中にいた冒険者たちが話しかけてきた。
「俺たちはゴブリン迷宮に入ったことがあるから先輩として教えてやるぜ。安心しろ、金を取る気は無いから。」
どうやら、完全に善意かららしい。
「では、お願いします。」