13話 謁見
今までと比べると長くなってしまった。
5話誤字修正、6話後書きの説明を追加しました。
翌朝、執政官の屋敷に行くと、応接間に通された。
「あなたが本当に炎龍を倒したのですね?」
「はい。」
「あなたには、辺境伯様に謁見していただきたい。」
「辺境伯様ですか。」
「はい。龍を倒せるあなたを放ってはおけませんから。大丈夫です。今代の辺境伯様はとても優秀だと評判です。権力闘争などに使われることは無いでしょう。」
「分かりました。辺境伯様と謁見します。」
その後、領都イエーグに行くことになった。
早朝に行っていたので、そのまま領都に行って、一泊してから辺境伯と謁見することになった。
領都に向かっているときに初めて知ったのだが、この国の国名はグラル王国と言い、この地域をヘイミュート辺境伯領と言うらしい。辺境伯とは国境に接する領地を持ち、独自の軍団を持つことを王に認められた貴族のことらしい。
ヘイミュート辺境伯領は王国の西にあり、ベイガー帝国と国境を接しているらしい。
おお!あれが領都イエーグか。さっきまでいた街より大きい。
街の中に入った!領民の顔は明るいな。辺境伯が優秀なことは、本当のことのようだ。
無能な領主ならば、領民の顔は明るくならない。少なくとも人の話を聞ける人物なのは間違いないだろう。だが、信用できるかどうかは別だ。
領主の館に着いた。応接間に通され、少しの間待つように言われた。
少しして一人の男が入ってきた。
「失礼、少々予定が狂ってしまい客人を待たせてしまった。申し訳ない。」
「いえ、頭を下げられるほどのことではありませんよ。」
「そうか、さて君が炎龍を倒したと聞いたのだが本当かね?」
「はい。本当です。」
「ではその証拠はあるかな?私は君を連れてきた男を信用している。だから、炎龍を倒したのは君だと思っている。しかし、信じない輩もいる。私はこのことを王に伝えなければならない。
その時に君の力を示してほしいのだ。もしやってくれたなら私のできる限りのことをしよう。」
「分かりました。やらせていただきます。やってもらいたいことは私専用の武器を作ってほしいということと魔法が学べる学校に行きたいということです。」
「ふむ、良いだろう。武器は我が家専属の鍛冶職人に作らせよう。学校は、王立魔法学園はどうかな?あそこは貴族の推薦が無ければ入れないがいろいろなことを学べるところだ。」
「武器のことなのですが、剣を貸していただけますか?その腰にある立派な剣ではなく、普通の剣で良いです。...ありがとうございます。」
剣を渡された私は剣の柄を持った手に力を込めた。その瞬間、
ミシッ!
そう音が鳴って柄が砕けた。
「「...。」」
「私、力を込めようとすると必要以上に力を入れてしまうみたいなんです。刃はナマクラで良いので、私が力を込めても砕けない柄を作ってほしいんです。」
「しかし、どのような素材なら良いのでしょうか?」
「素材には心当たりがあります。」
「どれですか?」
「私が倒した炎龍の素材です。しかし、私にはそれを加工できる知人がいません。」
「なるほど、そこで私の出番という訳ですね。」
「はい。」
「分かりました。任せてください。それと、あなた何歳ですか?」
「7歳ですが、何か?」
「いえ、学園は12歳から入ることができるので聞いただけです。あと5年ですか。その間何をしましょうか。」
「え?」
「あなたは強いので戦闘面は心配ないでしょうが、礼儀作法や常識、筆記試験の対策などもしないといけないでしょう。」
「いや、そこまでしていただく訳には...。」
「卒業後にあなたが働いて返せば良いんですよ。家族の中で話すこともあると思いますし、今日は帰りなさい。ただし、次来るときは住み込みで特訓ですから。良いですよね、お父さん?」
「はい。分かりました。」
「パパ!?」
「それではそういうことで。」
どうしてこうなった?