115話 今さら過ぎる邂逅
「それじゃあお祈りしようか。」
「私、作法とか知りませんよ?」
「神像の前で手を組んで跪いてればいいよ。目も閉じてね。祈る内容は、適当でいいんじゃない?」
「適当ですか。」
言われた通りに跪いていると、意識が一瞬遠のいた気がした。
少し驚いて目を開けると真っ白な空間にいた。
「ここはどこ?夢?」
「半分正解で、半分間違いじゃのう。」
声のした方向を向くと白いローブを着た老人が椅子に座っていた。
「あなたは?」
「ワシはフェイラスト・イグス。そなたらが言う聖神じゃ。ちなみにここは神域と呼ばれる場所じゃ。」
「聖神ですか。それで?私に何の用ですか?」
「ふむ。神ということを疑ったりせんのか?」
「あなたが聖神かどうかは知りませんが、神かそうでないかくらいは分かりますよ。」
「ホッホッホ。そうかそうか、やはりワシの目に狂いはなかった。頼みを聞いてくれるかの?」
「聞くくらいならいいですよ。」
「そうか。立ち話は何じゃ、まずは座りなさい。では、ワシからの頼みじゃ。魔族の企みを阻止してほしい。」
「魔族の?なぜ今さら。」
「確かに、魔族が魔神と呼ばれる存在を復活させようとして数十年が経過しておる。その疑問ももっともじゃ。」
「ならばなぜ?」
「これまで魔族に勝つことができる人類種がいなかったからじゃ。総力をぶつけてもたった一人に覆される。そんな状況が続いておった。もちろん、秘密裏に対処するよう神託は出しておったがな。」
「私なら企みを潰せると?」
「そうじゃ。ワシがそなたに直接話しかけたのはなぜだと思う?」
「なぜですか?」
「その理由はそなたがワシの力に耐えられるようになったからじゃ。ワシが神託を伝えていた聖人は生まれつき神力に耐性があった。じゃが、そなたには耐性がない。だからこそワシはそなたが神力に耐えられるようになるまで待ったのじゃ。」
「なるほど。元々耐性の者が神力に耐えられるということは神に近づいた証拠でもあるということですか?」
「そういうことじゃ。それで、ワシの願いを聞いてくれるかの?」
「私からもお願いしたいの。」
「今度は誰ですか。」
声がした方向を見ると、魔術師のローブを着た美女が立っていた。
「私は魔神キリエルド・アクエスよ。お願い、私の子供たちが過ちを犯そうとしている。それを止めて欲しいの。」
「どうして魔神がここに?」
「そもそも魔神が封印されたとか言うのが間違いなんじゃ。」
「え?どういうことですか?」
「彼女はワシらと対立したことなど一度もない。それどころか仲良くやってるおるぞ。のう?」
「ええそうね。」
そういうとアクエスはイグスに抱きついた。
「私たち、ラブラブだもんね〜。」
語尾にハートマークが付きそうな猫なで声でそういう。
「そうじゃのう。」
「私は何を見せられている?」
メイがジト目で見ていることに気づいたイグスは咳払いし、
「どうじゃ?やってくれるか?」
と威厳たっぷりに言った。
「何もかも手遅れだと思いますけど、私に関係ない話でもないのでいいですよ。」
「それは良かった。では勇者よ、また会おう。」
「勇者ってなんですか!?」
意識が遠のく感覚がもう一度来て、目を開けるとそこは教会の神像の前だった。
キリエルドとイグスの部分はウルトラマンからパk・・・参考にしたことは内緒