114話 プロローグ
あれから2年が経ち、私は12歳になった。
12歳になったということで学園に入学するために研究都市というところに向かった。
「そもそも研究都市ってなんですか?」
「研究都市はね、たくさんの研究機関があるんだよ。学園もたくさんある研究機関の一つということさ。」
「王都じゃダメなんですか?」
「土地が無いんだよ。それに、ああいうのは一箇所に集めておいた方が管理がしやすい。」
「研究都市は聖教会の力が強いって聞いたことあるんだけど、どうなの?」
「元々あの街を作ったのが聖教会だからね。一応本部は王都にあるけど、研究都市の方が教会は立派なんだよ。」
「教会ですか。信仰と研究って反り合わない気がするんですけど?」
「うーん。それは聖教会の教義に「知を追究せよ」ってあるからだね。教会に不都合な研究してても表立って禁止にできないんだ。」
「お父様って物知りね。」
「そうかい?役に立てなら嬉しいよ!」
「舞い上がりすぎでしょ。それにしても、今年で12歳ですか。11年しか生きてないのに私の人生色々ありすぎですよね。」
「そうだね。メイくんが来てから数年に一回は何か起こってるからね。今年は何が起こるかな?」
「何も起こりませんよ。多分…」
「メイ、そこは自信持ってよ…」
「お、見えてきたね。あれが研究都市だよ。」
辺境伯が言う方向に大きな城壁が見えた。
「おっきいわね。王都とどっちが大きいのかしら?」
「王都の倍はあるよ。」
「おお、すごいわね。」
「着いたみたいだね。ここが宗教と研究が融合した都市研究都市フェーギルだよ。」
「人も王都に負けないくらいたくさんね。」
たくさんの人が道を歩いていたり、買い物をしていたりと、大通りはとても賑やかだった。
「じゃあまずは屋敷に行こうか。」
「ここに屋敷があるなんて初めて知ったわ。」
「先祖代々学園に入学してるからね、屋敷を構えた方が安上がりだったんだよ。とはいえ、常に人がいる訳じゃないんだけど。」
「これが屋敷なの?」
「そうだよ。ひと月前から人をやって掃除させてたからね。ずいぶんとキレイになってるね。」
「待ちくたびれたぜ。」
「カイト、最近いないと思ったらここにいたんですか。」
「力仕事でもやって来いって追い出されたんだよ。」
「カイト何サボってるのよ。あ、着いたのね。」
「荷物を置いたら教会に行こうか。」
「どうして?」
「ここの慣習としてこの街に来たら教会にお祈りするっていうのがあるんだ。」
「教会はどこにあるの?」
「あれだよ。大通り沿いに行くと教会があるんだ。」
「ここからでも見えるのね。」
荷物を置いてから教会に向かった。
「ホントに王都のより立派だわ。」
「王都のは質素でしたけど、こっちのは豪華ですね。」
「そうだね。私も初めて見たときは驚いたものだよ。じゃあ入ろうか。」
辺境伯がシスターと話している間に教会の中を見渡した。
「すごいですね。豪華ですけど、品がありますね。」
「そうね。なんだか神秘的な感じがするわ。」
光の入り具合や反射などを計算して建てらてたらしく、奥にある聖神像が光り輝いて見えた。
なんかここにも厄介事の気配がする。




