113話 物は言いよう
予約日を間違えてました。ごめんなさい
魔族との戦いから数時間が経ち、泥のように寝ていたカイトは腹部に衝撃を受けて強制的に起こされた。
「な、なんだ!ってサキか、どうしたんだ?」
「どうしたじゃないわよ。私たちは使用人なんだから働かないといけないでしょ。アンタだけサボるなんて許さないんだから。」
「そういえばそうだったな。何時間寝た?」
「長くても2時間ね。昨日、もう今日か、には何があったか言えないからしょうがないけど、しんどいわ。」
「2人とも目にクマ付けてたらなにしてたのか疑われそうだな。」
「そんなのどうでもいいから、早く起きる。じゃあ私先行ってるから。」
「へいへい。なる早で行くよ。」
「そう言う言葉使ってもカッコよくないわよ。」
「うるせいやい!」
カイトが着替えてホールに降りるとサキが黙々と掃除をしていた。
「何か手伝うことある?」
「こっちは大丈夫。厨房で男手が欲しいって言ってたわよ。」
「そうか、じゃあ後でな。」
厨房に向かうと、
「何か手伝うことありますかね。」
「あら、ちょうどよかったわ。野菜を持ってきて欲しいのよ。重くておばちゃんじゃ持ってこれないから。」
「任しといて下さい。」
「ああ、そうだ。知ってる?昨日怪盗シグルが出たらしいんだけど、二人目もいたらしいのよ。」
「二人目ですか?」
「そうなのよ。女の子らしいってウワサだけど、どうなのかしらね?」
「さあ、どうなんでしょう。」
「他にもね……」
おばちゃんの話は長く、メイド頭が来るまで話に付き合わされた。
1ヶ月後
「ということがあったんだ。」
「最後のおばちゃんの話いります?」
「寝不足におばちゃんの長話は堪えたぜ。」
「まぁ、それはいいとして…そっちでは魔族が出たんですか。」
「ああ、上級魔族を倒した人間つまり、嬢ちゃんを探してたみたいだ。」
「なるほど、それで色々と情報が集まりそうな暗殺者になってたのでしょうか?」
「そんなところだろ。」
「君たちの体験談は聞いていて面白いよ。」
「そうだろ?それで、俺たちの持って帰ってきた物は役にたちそうか?」
「ああ、これで裏切り者共を血祭りに上げることができるよ。」
「うわ、恐ろしいな。」
「こんなのと敵対するなんてバカがいるとは。」
「こんなのってどういう意味かな?」
「人を陥れることが大好きって意味ですね。」
「もうちょっとオブラートに包めないのかな?」
「包んだつもりだったんですけど。」
「努力の証がまったく見えないんだけど?」
「うわ、見えない火花が散ってる気がする。」
「それにしても、サキくんも怪盗になるとは思ってなかったよ。」
「それは俺が不甲斐ないからっすね。」
「本当に君たちは飽きないよ。君たちが戦ってきたんだ、次は私の番だね。」
「ホント、ろくでもないことが起きそうです。」
「そんなことないさ。害虫が減るんだ、いい事だろ?」
「物は言いようですね。」




