111話 二対一
カイトとアークゼクトは睨み合う。
「よく俺たちがやったって分かったな。」
「フン。アレだけ証拠を残しておいて、白々しい。」
『アンタ証拠なんて残してたの?』
「魔族が護衛なんてやってるんだ。他にもいるって思うのが普通だろ?それを炙り出すのが目的だ。」
『そういうことは先に言えと何度も・・・。』
サキは呆れて頭を抱えていた。
「ごめんて。」
『とりあえずバフ掛けてあげるわ。』
「サンキュー。」
「待ってもらって何度もすまないな。」
「イチャついてんじゃねえよ。」
「イチャついてなんかないわよ!!」
「否定が早いんじゃ。」
「事実でしょ。人集まってきてるわよ。どうすんの?」
「どうするもこうするも、こうするのさ。」
カイトは駆け出し、アークゼクトに一撃を入れようとする。
それをアークゼクトは紙一重で避けながら反撃を繰り出す。
「急に戦い始めるんだ。」
「当然だろう。魔族の排除が目的なんだ、奴さんが油断してるなら攻撃の一つくらいするさ。」
「全然一つじゃない件について。」
「貴様ら余裕だな!」
そういうとアークゼクトの姿が掻き消える。
カイトは不意打ちを警戒し、一瞬身体を止めてしまうがすぐにサキの方を見て叫ぶ。
「屈め!」
サキがとっさにかがむと、さっきまでサキの首があった場所を刃が切り裂いた。
「無属性魔法«破壊の波動»」
「グウウ!」
サキがとっさに発動した魔法によりアークゼクトは踏ん張ることもできずに吹き飛ばされてしまった。
「サキ!大丈夫だったか?」
「え、ええ。でも、かなり強かったわね。」
「吹っ飛んでったけど、倒せたわけじゃないだろうな。」
「あいつはなんなの?」
「あいつは、この前やり合った力押しではなく、俺みたいに戦術を立てて戦うタイプだ。」
「私が苦手なパターンか。」
「そうだな。戦闘技術も高いから、サキの戦い方だったら、ジリ貧だな。」
「どうするの?追うの?」
「当然だ。サキは帰ってろ。」
「嫌よ。私も行く。アンタだけに任せるわけにはいかないんだから。」
「何ィ!あ~、分かったよ。走りながら作戦を話すぞ。」
「分かったわ。」
アークゼクト視点
「少し油断したな。」
吹き飛ばされたアークゼクトは裏路地の一角に墜落していた。
「奴らは強い。だが上位魔族を倒すことができるほどではない。やはりあの方々を倒した者はここにはいないのかもしれないな。」
そう呟き、顔を上に上げる。
「来たか。」
その瞬間真上からカイトが落下攻撃をしようとしていた。
「浅はかな。」
それを避けながら空中にいるカイトに蹴りを繰り出す。
「うわ!危な!ていうか避けてんじゃねえよ!」
「普通避けるだろ。」
「ウラァ!双短剣術«顎»」
「ねじ伏せてやろう。暗黒術«影の牙»」
二つの影が交差し、その度に金属と金属がぶつかり合う音が響く。
それを合図にして、相棒が動き出す。