106話 暗殺失敗
4章の設定を今さら途中だったと気付いて修正しました。申し訳ないです。
「アントン商会に乗り込むんでしょ?作戦はどうする気?」
「壊滅させたいんだよな。その為には、闇討ちでもするか?」
「まずはボスを殺らないといけないでしょ。じゃないと警戒されて動けなくなっちゃう。」
「ボスの名前聞いてたよな?なんて名前だっけ?」
「アントンよ。」
「そうだった。商会長がボスやってるって言ってたな。」
「ボスを排除出来たら、内輪揉めが起こると思うし、そのどさくさで壊滅させていけばいいんじゃないかしら?」
「それでいくか。」
その夜
「居たぞ、アントンだ。誰か隠れてないよな?」
「二人いるわね。装備も良いし面倒な相手だと思うわ。」
「逃げられないか?」
「私も行った方がいいかしら。」
「頼む。ボスを追跡してくれ。」
「分かったわ。今から行くから待ってて。」
「おまたせ。」
「サキの怪盗衣装は初めて見たかもな。」
「そんなのどうでもいいわよ。ちょっとこっち見ないでよ。」
「似合ってるぞ。」
「う、うるさいわよ。早く行きなさいよ。」
「へいへい、行っきますよ。」
護衛の相手をするのはめんどくさいので、静かに暗殺することにする。
「…」
だが、首を短剣でかき切ろうとした寸前で手が止まってしまった。
「ん?な、なんだお前は!おい!侵入者だ!助けてくれ!」
「クソ!なんでだよ!」
アントンが叫んだ瞬間、壁の向こう側から魔法が発射された。
それを身体を捻って避ける。
その瞬間、護衛の一人が壁を突き破って俺に体当たりをしようとしてきた。
避けながら短剣で切り付けるが、短剣が弾かれる感触があった。
「何者だ?」
「教える義理はねぇな。」
「ならば無理にでも聞き出すのみ!」
「かかってこいよ。」
そう挑発する。
身体を狙った短剣は弾かれてしまったので、腕を狙う。
「死ねぇ!」
その巨躯には見合わないスピードで接近してきた。
防具のない腕を攻撃したが、
「な!」
短剣の攻撃が弾かれてしまった。
「フン!」
「グア!」
攻撃が弾かれてしまった俺は隙だらけで、モロに攻撃を食らってしまった。
壁を突き破って隣の部屋まで飛ばされる。
「素手なのになんて威力だ。それに短剣が効かないとはな。」
「お前頑丈だな。俺の一撃を食らって動けるとはな。」
「もしかしてお前…。」
「死ねぇ!」
「やっぱり!魔族かよ!」
「よく分かったな。冥土の土産に見せやる。俺の真の姿を!」
そう言うと、魔人の証である角が生え、目の色が反転した。
(こいつは恐く下位の魔族だ。嬢ちゃんは上級魔族を二体倒したって言ってたけど、ハンパないな。)
「この姿を見せてやったのだ、嬉し泣きして死ぬがいい。」
「何言ってやがる。野郎の真の姿なんていらねえんだよ。そんなに俺が殺したいのなら美女になって出直してきな。」
「その減らず口も叩けなくしてやろう。」
(こういうイノシシみたいな相手ならやりようがある。嬢ちゃんに対処法聞いといて良かったぜ。)
俺は薬を用意し、相手から見えないようにもう一方の短剣にかけた。
「「次で終わりだ。」」