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海の底の人形は黎明の訪れを待ちわびる  作者: 川田 翠
第1章 暁の盗賊団
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第1話 異世界へ

ひんやりとした感触と潮の香りで目が覚めた

優しく頬を撫ぜていく風が心地よい。


「ここは?」


明らかに狭苦しくじめじめとした自室ではなかった。

建物と建物に囲まれてひっそりと佇む広場。

中心にある噴水はまるで何十年もの間人々に忘れ去られたよう。


目覚めたばかりの頭が徐々に覚醒していく。

『飽きた』が成功した…? 

どうして? 原理は?

次々とクエスチョンマークが浮かび上がる。


母さんは大事に大事にしてきた操り人形がなくなって悲しむんだろうか。

大学受験はどうしようか。


まあ、もうそんな事はどうでもいい。


噴水の水で自分の姿を確認する。

いつもと変わらない顔面とこの世界にそぐわないTシャツがいつも以上に滑稽だ。


「よし」


ここで悩んでいたって仕方ない。

生き抜くにはお金が必要だ。

活気のある大通りへ向かえば働かせてくれる所があるかもしれない、うまくいけば住み込みで。


噴水の水で顔を洗ってなんとなく気の赴く方へふらふら向かった。



「安いよっ安いよ!」恰幅の良いオバさんが威勢よく叫ぶ。



「最高級のキールが入ってるよ!こっちの国じゃ食べられねーぞ!」漁師と思われる若い男がいい匂いの魚を焼いている。



「そこの若え兄ちゃん!そんな変な服着てねーでゴンドワナ製のローブなんかどうだい⁉︎カダルでできた純正ひ………」


「いや、大丈夫です…お金持ってないんで」


数十分探索して分かったのは大きな港がそばにあるという事。

ここはきっと貿易を中心として栄えた国だ。

活気溢れる露店がいくつも連なっている。


「黒い髪に黒い瞳、この国じゃあまり見ねえな

 ひょっとして兄ちゃん 『神の子』か?」


「『神の子』ですか?」 

聴き慣れない固有名詞が飛び交って会話についていけない


「ああ、すまない分からないよな。あちら側のこと、こっちじゃ『神の国』と呼ぶんだ。旧い時代の話でな、あらゆる生物の祖先が『天空の目』を通ってあちら側から、生まれたばかりのこの世界へ降り立ったそうだ。本当か知らないけどな」


この世界は僕らの世界と枝分かれした パラレルワールド という事だろうか


「俺の国じゃあ『神の子』は幸運の印なんだ。

一年に一人来るかどうかだからな!俺も会うのは初めてだよ! 兄ちゃん、金に困ってるならギルドへ向かえ。大抵の国じゃ『神の子』がこちらで生きる手助けをしてくれるぜ」


「ご親切にありがとうございます」


「いいってことよ  金が貯まったらまた来てくれよ! 星鈴祭の最終日までは店出してるからな」


どこの世界にもいい人っているもんだな

おじさんに手を振って歩き出した。


それにしてもギルドってどこにあるんだろう。




ギルド…ギルド…

結構歩いたがそれらしきものは見つからない


とうとう街の外れらしい森まで出てしまった。


人を探して聞いた方が良いかもしれない



「まって‼︎」


後ろから突然声がかけられた。



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