決して死なない(3)クローン
多くの言葉はどこかからお借りしてる言葉です。
二次創作ではないのですが、知ってる人はクスリとしてもらえれば。
その危機が明らかになったのは2025年2月14日。
ハワイのニモイ天文台が発見したブラックホール"BORG"の軌道が
約400年後に太陽系と交錯する確率が70%と発表された。
相手がブラックホールでは、抵抗は無意味であり
遠い未来の確率70%は、どこか他人事でもあった。
しかし、危機感がなかったわけではない。
太陽系外への移住は一朝一夕に可能となるわけもない。
手始めとして、2050年に火星のクリュセにドーム型のコロニーを建設を開始。
主に第二の地球を探す活動拠点として開発が進んでいった。
火星には多くの天文観測所が建設され、いくつかの惑星が発見されなながら
人が住める星は見つからず、"BORG"との接触確率が徐々に上方修正される中
絶望感だけが増していた。
具体的な進展があったのは2276年。
ユーラシア貿易が開発した新型観測装置ダッチャが第二の地球となりうる星を発見した。
発見された星は"Terra"と名づけられ、人類の希望の光となった。
一方で、"Terra"への道のりはあまりにも遠く、最新のエンジンでも500年以上かかる距離。
ワープ航法のような飛躍的進展が無い限り現実的には移住不可能だった。
また、そのころに始まった火星の大規模地殻変動によって2277年には火星が砕け
失われるという不幸も追い打ちとなった。
多くの観測施設も同時に失われ、新たな希望を見つける手段も失われ
地球が失われるまでの時間も100年余りと現実的な距離に近づいていた。
そこに、新たな希望が生まれた。
脳のデータを丸ごとバックアップできるようになったのだ。
つまり、たとえ死んでもクローンにデータを入れてやれば
若い身体に戻るだけで生き続けられるシステムが完成したのだ。
実質的に決して死なないシステムが時間の壁を乗り越える。
これがこの時にあった最初で最後の希望となった。
その後改良型タンデムミラーエンジンが開発されたのを機に
地球連邦政府が「地球再生計画」を決定したのが2331年。
新たな地球を"Terra"に再生するための移住プロジェクトだ。
地球を最初に飛び立った船は2340年。
脳データとクローン用の遺伝子情報となる血液100万人分とともに
120名余りのスタッフが飛び立った。
その後も相次いで同型の船が建造され、私たちが地球を飛び立ったのは約150年前
2345年のことだ。
ジョミー・マーキス・シン艦長以下123名のスタッフは2345年と変わらない。
体の年齢は変わっても、300年宇宙船を維持するための仕事は変わらない。
乗客は、今は体のない200万の人々。
ようやく半分、もう元の地球はもう砕けただろうか。
他の船は無事旅を続けているだろうか。
死を乗り越えた旅はまだ続く。
いろいろ固有名詞が出てきますが、それから連想されるものとは一切関係がありません。
ちょっと歳がバレます。
一応年代のツジツマ合わせは大丈夫だと思いますが、変だったら書き換えるかもしれません。
本当はクローンの葛藤とか、クローンを成立させるためのプロセスとか
そんなものを書いていたのですが、いろいろ盛り込むのが楽しくなってしまって路線変更。
それはそれでまた機会がありましたら。
次は決して死なないシリーズの番外ということで、「転生」を書きたいなと思います。
転生も考えてみたら死んだ後にまた生きて、決して死ないパターンの1つですね。
私が転生を書くとどうなるか。ちょっと長くなりそうな予感はあります。
例によって、余裕で2年後とかになるかもしれませんが、きっと書きます。