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まえがき ひねくれ者の回顧録



あらすじとはリンクしてないので、今はまだ楽しめるものではないと思います。

次回投稿分から本格始動しますので、適当に読みとばしてください。


 高校生だった頃の僕は、とにかくひねくれていた。

 例えば、一人称がオレの小説は読まなかった。理由は、地の文だとオレがボクに変わっているから。

 例えば、不良だった。自分で言うのもなんだが、喧嘩は強かった。負けたのは、まあ一度か二度か。それで友達や家族に心配をかけたことがどれほどだったか、そんなの気にも留めなかった。

 世界は自分がいなくても回ると信じていた。

 それは間違いないのだが、当時の僕は大切なことを見落としていた。

 僕が望もうと望まなくとも、僕は誰かの世界に組み込まれていた。それこそもう、否応無しに。

 いつだってそうだ。高校生は深く考えずに、感じたままに決めつける。その方がすっきりして、何かと楽に生きることができるのだから。

 だから僕は大切なものを見落としていた。決めつけて、振り返ろうとしなかった。

 気がつくのはいつも、何かを無くしてしまってから。

 それさえ分かっていたならば、人はもっと利口になれるってものだ。そうだろう?

 投げやりで適当な父親も、何かと口うるさい大樹も、うさん臭い修司も、面倒くさい三枝も。

 きっとそうやって、当時の僕より大人になっていたんだ。

 だから僕が大人になるのも、自然な流れだったんだ。大切なものは誰にでもあって、それをいつか失うことって、イヤになるくらい必然のことだから。


 これからのお話しは、云うなれば僕の成長記録だ。馬鹿でひねくれていた僕の、成長の物語。

 聞こえはいいが、平たく云えば恥ずかしい身の上話。幼少時代の寝小便だ。読み返すたびに顔から火が出る。

 ついでにいえば、胸の辺りがキリキリ痛む。

 それでもこうして文章にしたのは、そうするしか他に無かったからだ。それが良いって思っているから。

 それじゃあ高校生の頃と変わんないって、突っ込むのは止めてくれ。僕なりに考えて、考え抜いて、迷って、悩んだりして。そうして決めたことだから。

 この本を読んでみてほしい人たちがいる。

 僕を世界に受け入れてくれた、多くはないが少なくもない人たちに。

 僕を拒んだ、多くの人たちに。

 僕を知らない、そりゃあもう沢山の人たちに。

 

 書くと決めたのは良いけれど、どこから書けば良いのかは知らない。

 なにせ、僕は小説家なんかじゃあないのだから。それに、そんなに読んでもいない。あんまり好きじゃなかったからなぁ、読書。

 けどまあ、いいか。僕なりに思ったことを書いておこう。

 僕の通っていた高校は、公立の荘青間高校っていう所だった。

 元は江戸時代の藩校をモチーフにしたとかで、東京六大学に卒業生を出したりもした、それなりの学校だった。

 もっともそれは、僕が入学する10年以上も昔のことである。とっくに落ちぶれていた荘高は、奇しくも当時の教頭のボーリングのスコアと偏差値が一致していたのだ。あのときはみんな、そりゃあもう笑ったさ。自分たちのヘタレ具合を忘れるためにね。

 そこには馬鹿とか不良とかがいっぱいいて、僕は馬鹿で不良だった。馬鹿は認めはしたけど、当時の僕は不良だなんて思ってなかった。ちょっとニコチン依存症の、よく喧嘩を売られるどこにでもいる高校生。

 あぁ、思い出すだけで泣けてくるぞ……。

 その荘青間高校には僕の友達がいたりして、まあそれがきっかけだったんだ。

 会うはずの無い僕たちは、そいつがいなけりゃ赤の他人で終わっていた。

 それは一年生の初夏、僕が授業を抜け出してバイトに行ってそこでタバコを吸っていたらたまたま近くにいた高校の先輩にカツアゲされてそのまま殴り合いになって止めに入った店長が怪我して僕たちが停学を食らって大人しく家にいて、ようやく学校に行けるって時のこと。

 きっかけのメールは未だに保存してある。記念に。


 From.後藤修司

 Sub.進学情報

 我ガぼらんてぃあ部ノいべんとニ参加シロ。ソシタラ進学クライサセテヤル。有リ難ク思エ。詳細ハ後日。


 アホみたいなメールだろ? こんなのが彼女との出会いのきっかけだなんて、世も末だと思うよ。

 でもこれが事実なんだ。


 それじゃあさっそく書いていこうかと思う。僕が嫌いな一人称オレの地の文ボクな話ではなく、三人称語りの物語を。

 それと、ネタバレしないように言っておくけど、僕が彼女を失ってしまったとか、そういう話ではない。先ほどと言ってることが違うのだが、まあそれでもこれは僕の成長の物語なんだ。

 最後に。このお話で僕と彼女の仲について、あまり期待しないでおいてほしい。成長記録なんて言ったけど、僕にとってはいろんな意味で胸が痛くなるお話でもあるんだ。

 事実は美しくも汚なくもなく、いつも淡々としているものだから。

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