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森
処女作
とりあえず序盤だけ書かせて頂きました。細々と描いて行きますので何卒…。
「ん……」
ひんやりとした空気を肌に感じた。
薄ら目を開けて身体を起こす。
「…。あれ…何で私…」
徐々に眠りから目覚めていく五感が、辺りの非日常を感じ取る。
自分を取り囲む怪しげな木々に聞いた事のない鳥の声。そして異様な冷気に、私は本能的に危険を覚えた。
「う…っ…。おかしい…何ここ…」
冷え切った身体を摩り宛もなく歩き出す。辺り一面背の高い木で囲まれた暗闇の中ではそうするしか無かった。息をする度に感じる妙な違和感、重苦しさ…。明らかにおかしい。こんな淀んだ空気、この世のものとは思えない…。
それにさっきから頭に霞が掛かったようにぼんやりとしか物事を思い出せない。
私は烏間月音。17…歳、だったような。それ以外、自分に関する情報は霞に阻まれ出て来ない。
…ふと、灯りが視界に入る。暖かく、柔らかな、森の瘴気を払い除け一際目立つ灯り。
光に集まる虫の如く、自然と私は灯りに近寄った。