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平行世界譚 ATONE VOICE  作者: 随想
1/3

第一話「月影と星屑に」

本作は20年ほど前に映像として組み立てた物です。最も映像化する技術など有りませんので作者の頭の中のみです。

今ではPCとソフトを駆使すれば可能になった時代ですが、残念ながらそれほどのスキルを持ち合わせてはいませんので文章化をする事にしました。

その為、不慣れ且つ稚拙な文字の羅列となります事をお詫びします。

それでも登場するキャラクターたちに気持ちを向けて貰えればと思います。


そして少しでも面白いと感じて下されば幸いです。


おおよそ4話以上の予定で不定期更新していくつもりですので、宜しければお付き合いください。


初期原案を発掘しましたのでタイトルが少し変更になります。


8分間の異なる平行世界の事を聞いただろうか?

最高額硬貨の使用で発覚した昭和から平成への過渡期と同じくして分岐したとされるもう一つの日本。

僅かな違いから昭和65年が有る世界。

完全に独立しているより相互に通じ合っている世界達。それでも溶け合う事は無く、お互いにもう一つの可能性で有るかの様・・・。


そんなある日、二つの世界を強制的に繋げる出来事が起きた。

地球人類とは異なるであろう構造体ピン・モニュメントによって。


当初の交流は友好的だったが、時を経てやがて二つの世界は別々の歩みを見せ始めて行き、遂に戦いへと突入していった。

絆を結んだのか?それとも混乱をもたらしたのか?


その戦いの終焉と平行世界に残る事を選択した人の想いを語ればと思う。


人工知能と人型機器と宇宙施設と宇宙船が登場し、時空間跳躍技術が使用されるがストーリーは侵略を受けた地上での語りとなる・・・。


さて。

では始めよう。


第一話「月影と星屑に」


月面。和平を声高に唱える強行派ノーグラビティの虎の子の船団が別地球へと続く転移門維持設備ユリシーズゲートに向けて離陸していく。


しかし、輸送船を強襲用に悪改造したお粗末な艦体だ。

しいて言えば、寄生するための卵を抱えた虫か何かが自滅を望んで飛び出ていく姿だろう。


だが無理もない。

資源が急速に枯渇していくこの世界では、他の手段が無いのだから。

向かう先のもう一つの世界には資源は有るものの、活かせる技術が育たないのだ。

侵略に手を染めたこの世界は、それでも協和を図る者たちと強硬に侵攻を進める者たちとがいがみ合っていた。


一方。ユリシーズゲートでは迎え撃つべく無人防衛機器ブロウ・キュービックが展開。有人の船と再突入機隊を殲滅しようとしている。


この無人機、推進部のキュービックを中心に自立式攻撃機器ブロウユニットを接続している。

キュービックの形状によって最大数が決まるが、敷設型を除き推進部分が有るので多面体の面の数に1マイナスとなり、キュービック同士を接続させる事も可能だ。

まるでスズメバチに対するミツバチの如くだ、しかしこのお互いの相手は広い空間に対して少なすぎる数でゴール地点に向かう、立体的な移動をするサッカー選手だろう。


視点を変えよう。


私はノーグラビティに加入している一人。

強行突入機メガサムソック・MkⅧに搭乗しているステア・デメリア・プチ。

輸送艦の格納装置内で待機中だ。

「ねえ、ズィンム。何人があっちの地球に辿り着けるかな?」

不安は去らない、決して。

でも機械音声が答えようとする。視覚的にはモニターにグラフィックが躍る。

『マスター。ワンチームの到達で大きく変動するのが期待できます』

私は苦笑で返す。

「それが大変だから・・・ううんごめんね。ありがとう」

再びグラフィックが躍る。

『不安の解消が出来れば良いのですが。

 問題はとても険しく気休めの言葉でマスターを失うわけにはいきません』

「あなたはホント人間より人間らしいところがあるわね」

『この学習を施した担当者のメンタリティの影響です』

「そうね」   

父でも母でもない、知らない技術者。

むしろ問題児扱いされていたというが私の今にとっては・・・悪くない。

けどこれからは。

ここから出れば、この瞬間だって。

いや。

この考えはやめておこう。


私の名前はちょっと遠い祖先の名前と全く一緒だという。

優秀な女性だったので肖りたい親心なのだろう・・・。

親心ねえ・・・、父は今回の出来事で離婚を一方的にして母と私を遠ざけた。

護りたかったのだろう事は理解できるけども、家庭を壊して、放り投げて、護ったぞってのは嬉しくない!

・・・・

う~ん現実に戻ろう。

『全員通達!会敵まで3600秒!発進準備まま待機、おって指示するが状況しだいでは各個判断の可能性が有る』

「なんてタイミングで」

『マスター!緊急発進を‼着弾まで10秒』

「っ」

---衝撃

固定装置の緊急解除のアラート!

---振動

格納容器のパージが行われた。システムからか、それともダメージからか・・・。

---浮遊感


ゲートが開かない・・・やはりダメージでか。ならば自分で開ける!

機体端部の左右に備えた回転砲座を互いに反対側の壁に向けて発射。

砲身の内側を保護する栓を電磁放射モードで抜く。

加速した質量がアンロック状態の壁を容易く広げ・・・両腕も使って強引に分離する。


「ズィンム!サポートお願い!」『距離2.67ベーターセクト。基部1・2、下部2・3、に敵1』「了解」

外壁が開けた。周りが見える。

こちらの位置情報に変換して教えてくれるので頼りになる。

*{この規格はオリジナルです、三段階で距離を表し方向を機体の水平垂直を基準にして角度を示します。}*

機体を下向きに変更。マニューバーシステムが照準しトリガーを許可。迎撃!


しかしアレは推進剤を使い果たしたキューブをそのままぶつけようとしただけだ。

攻撃力を持っているブロウユニットが分離しているはず。


幾何か。迎撃に参加しているようだが護衛機では無い。

私と同様なのだろう。

つまり状況はすこぶる良くないって事だ。

その時視界に、いやモニターに入って来たのはズィンムで制御されるMTM=マルチタスクマニューバー、インカーネートタイプの支援攻撃機。


護衛任務の機体と自分から外へと出た各機は、大きく重い使装備を廃棄して迎撃に挑む。

ニュークリアブレイク砲、中間子撹乱現象を応用したビーム兵器の一種。破壊より崩壊を促す特殊兵器だ。

当たらなければ、エネルギーの無駄である。ただ、一定時間内で撹乱が持続するのが特徴であり、対策の施されていない機器では影響を受けやすい。

その二次効果を狙って多く装備された。

通常のミサイルやレールガンと同等の加速質量砲も併用してブロウ・キュービックを攻撃していく。


MTMに手足は有るがその質量をつかって姿勢制御を行える。

ただ手にはシールドと一体化した電磁加速砲が。足の先にはスラスターが長く伸びている。バーニアも使っての姿勢制禦が不可欠だ。

私の乗っているメガサムソック・MkⅧにも腕が有る。バーニアの補助で使うのだ。

ブロウユニットは回避を繰り返ししながら攻撃の機会を窺うが、ズィンムとの性能差で撃破された。


思っていた以上に混戦しているし、なにより会敵が早い。当然だろう、場所なんてお互い知っているし何回もドンパチしているのだから。

なんとしてでももう一つの地球に辿り着きたい、届けたい物があるから。

その為には惑星上空にある特異点を保護する転移門維持設備ユリシーズゲートを掻い潜らねば。


艦隊はかなりの消耗をしているとすぐわかる。

かりそめの砲塔をくっ付けて、増加させたスラスターを4基在ろうとも、コンテナを引っ張っていく輸送船じゃ、数が多くても。

攻撃を受ける前に何機か発進して被害を下げた様だが。


------無理だろ。相手の方が早い。


けど。

今なら、推進剤の消耗を無視すれば。

うらをかける。


「まだ満タンよね?ズィンム・・・」

『20パーセントも使っていません。単独で先行しますか?』

「イエスよ!」

『最短ルートでは迎撃されますが。アイデアに従います』

「うん。さすがパートナー、解っているね。一度門の下に降りてから急上昇するから!」

『ガードを行っているのは6機です』

「落とすより回避を優先!貧乏くじ引かせてゴメン」

『いえ、腕が鳴ります』

ほんとう、人間臭いよ。


---彼女たちが向かう先。


地球の上空に浮かぶ大型の設備、どこからか飛来した構造物が通過したこの空域は別の世界の地球とを繋げる穴となっていた。

ユリシーズゲートと命名したこの穴は、いや穴と表現しているが特異点的空間だ、開閉できない規模の領域を有していたが、電離的に遮断できる事が偶然判明して、イオンを噴射する極めて非常識な高度に存在する巨大建造体と成り、その後要塞化した。

要塞と言っても、無人攻撃機を周回するだけだ。

四角い板を4枚繋ぎ合わせた様な基本構造に必要な設備を追加した全体像の中央には、少し景色の違う地球が一望できる。


やや、すすけた様な色合いの地球。その上空の一点に在る穴。其の中にはより青い地球が観える。


迎撃状態の無人防衛機器ブロウ・キュービックが警戒しているが穴の下面側には手薄になっているのがモニターに映し出されていた。


ゲートの穴側に設けられたコントールセクション。長方形の形をしていて設備の平面からも幾分か突出しており、宇宙ももう一つの地球も観測できる。戦艦だったらブリッジだろう。

今はここで無人機の制禦、いや、命令を出している。


設備そのものには迎撃用の攻撃装置は皆無である。替わりに分厚い防護板が多層積載している。

また、移動する為の装備も無い。

姿勢を保つためのバーニアと若干の位置変更が可能だが、全く動けない。

穴の維持だけが目的なのだから。


視点が変わる。


宇宙の風景に瞬く光。人工のこの輝きは人の命の儚い煌めきだろう。

全く何時まで続くのか?

その中。

予想していない角度で急速に近づく機影、マーカーが表示された。

マーカーには識別表示が有った。

「やはり狙ってきたか・・・」呟く。

「まあ、パサート・バリアント・テトラ設備長、あなたの子ですからね。彼女は」

振り返ると見知った顔がそこにあった。

彼は行動し易く防護を最小にした気密服を着こなして現れたのだ。

「特使官ギャザー・ギャゼラン君か。意外と時間にぴったりだな」

とぼけてみる。

少しするとゾロゾロとお仲間が入って来た。勿論武装している。

しかし、発砲する気配はない。

「あ~待ち合わせなんてしていないぞ?」

「そうだな」

多勢に無勢だ。元よりここには最少人数だから、反抗の気なんて無い。

下手に傷が付くと、設備の地上落下が起きうるし、此処自体があまり人間に良い環境では無いのだから。


「どうするね?戦いは決した、ここでの戦闘には意味は無い」


彼は此方を狙って構えていた銃口をゆっくりと移す。少し下げて、そのまま横へ。


「ここで見届けるのもいいかもしれないね」

と、達観した言葉を吐く。

「悪趣味って言われないかい?」 

「まだ、終わっていない。いつかは終わるにせよ」

お互いに肩をすくめるジェスチャーをしながら会話をする。


「いずれは終わりが来る」

横にゆるりと歩き出す。一歩もう一歩。

「二つの世界の為にも。どんな結末か、まだ知れないが」

もう一歩・・・

一斉に気配が変わる。


「そこで止まってくれ。撃つ事になる」

やはりだめか、まあいい。

「お互い此処の作りは知っているものな」

「そうだな。しかし、我らと此処の設備長であるアンタとではこれからやろうとしていることは真逆だ!

 打ち合わせの通り全員開始!」

彼は後ろに指示を出す。

一斉に駆け出したスタッフは予め決まっていたであろう位置に立ち、コンソールを操作してゆく。

「我らはこれより各設備の維持を厳とする。設備長、あんたは身柄を拘束させて頂く」

「俺の生命維持装置を強制停止するとその努力を無駄に出来るが?」

着ている環境服の非常停止スイッチを見せてやる。

「一応手は打っている。しかし実際の所アンタはやらんだろう、あの嬢ちゃんを通過させるだろうからな」

まあそうだがな。


「かと言って、お前らの自由にはさせたくないぜ」

「このゲートを地上には落とさせんよ。

 全くこっちはこのデカブツが無くなった方が都合がいいのに、アンタのせいで維持しなけりゃならん」

彼の部下が次々と報告を告げる。


4基ある構造体の接続が再調整され穴の開放が始まる。

「作業ご苦労さん、これで此処は寿命を迎えた。最後までには少しばかりの時間が有るんだが

 語らい合わないかい?」

「それは良い提案だ。けどまだだ。仕上げが残っているだろう?」

彼はそう言って外を見やる。

つられて俺も視線を向ける。


そこには---


再び視点がステア・デメリア・プチへと変わる。


メガサムソック・MkⅧとMTM、地上活動の為の装備と不可避の戦闘用装備で重く鈍い。

ブロウユニットには加速質量弾とプラズマレーザーを持つ。

が、電磁加速を行っていない点や近接レーザー程度の出力なので、能々酷い当たり方でなければ十分な防御性能を有している2機を撃破するのは容易くは無い。

これでも軍制式採用試験の規格を凌駕した実績を有するのだ。しかし数で攻め込まれれば墜される。


人工衛星軌道上に浮かぶユリシーズゲートに向かって前進する2機。

軌道面上よりもやや下、重力に捉われるギリギリの空間を飛び、無人機の攻撃可能領域を被弾しながら、迎撃しながら、巧みに躱しながら、ひたすら非戦闘空間に進む。

ユリシーズゲートと特異点的空間を傷つけない為の・・・だが決して安全では無い場所へと。


そこへ正面からブロウユニットが発砲しながら接近。撃ち落されるのを前提で仕掛け、横方向から連続的に砲撃、隙を窺う為だ。


ステア達は惜しげもなく持っている武装を使い果たす。

まずメガサムソック・MkⅧの機首上部と左右に備えたニュークリアブレイク砲を斉射。

囮の役目を果たさせない。


横から迫る多数の敵に対し、MTMはメガサムソック・MkⅧを守る故、ブロウユニットの射線の前に出ての行動を行う。

自殺行為に思えるが地上に降りる目的が最優先であるがこそ。

持ち前の情報処理能力の優位さを生かしてブロウユニット本体の撃破を実行する。

勿論、被弾に備えてシールドを向ける。多層構造の装甲がどんどんと減ってゆく。架装推進部等にも当たるが、重さと引き換えの耐久性を発揮。


「無理はしててもいいけど無茶はダメよ!何としてでも地上に降りなければならないのだから」

我知らず声に出していた。呟きでも独り言でも無く、いや両方なのだろう。

『マスター、心配には及びません』

直後モニターに大きく映るMTM。そして被弾。画面全体に光が満ちる、すぐに自動調整されるが。

「頼りにしてるわ。でも墜とされるのもダメ!」

『お任せください』

メインモニタ-のナビゲーションが更新され、再び踊る様に天を翔ける。


その先には敷設型の複数のキュービックが繋がったブロウユニットが待ち構える。


2機が同時に一斉射。

ニュークリアブレイク砲とこの時まで温存していたミサイルを惜し気無く注込む。

次の宇宙空間には目映く輝く巨大な光球が生れて一瞬で消える・・・。


ブロウユニットは砲撃する向きを急遽変更する、が、MTMの増槽部分=ブースターが邪魔をする。

単に囮にしたのだが、ジャミング効果のあった先ほどの爆発でセンサーはまんまと騙された。

今まで何回も仕掛けられた、キュービックの使い方を模したのだ。


それでも迎撃の手を緩めない。

しかし、MTMはその身を挺して守る役目を果たしている。

片足のスラスターを吹き飛ばされた。

「ズィンム、足は使えそう?」

『スラスターのみの破損です、いよいよギブスアーマー(腕や足の関節部を適時固定して外部衝撃から守る物)が重くなってきました』

「もう少し堪えて・・・」

『予定を早めましょう、先行隊がゲートの起動に成功したようです』

「そうね。そうしましょう。けど、周りに誰もいないわ」

『仕方ありません、このルートは作戦行動から逸脱していますので』

「ここだけじゃないけどね」

非戦闘領域まで後少し。

通過した敷設型から見てユリシーズゲートへのコースを直進。

これで攻撃は少しは減るだろう。

「油断なんてできない。けど恐らく、今続いて来ている仲間は。いない!」

『----』

ズィンムは無言の通信を返す。わざわざ。つまり肯定である。

「なら私たちは失敗できない」

2機は何度目かの最大加速を行う。

が。

『提案です、追加装備はすでに限界です。・・・が、』

「燃焼剤だけはまだ有るのね。パージして爆破、目くらましも兼ねるわ」

『ダメージが少なくないです。地上活動で支障が起き得ます』

「このままではすべてを失う。なら、賭ける事にしましょう!」

『30秒後にパージ。その直後10秒以内に打ち抜きます』

「任せたわ」


多重に接続している追加装備だが、地上活動用の分を抱えた分を除いてすべて分離。

こうしてみるとボリュームが大きく感じる。

TMTが進路を調整してから分離。残った武装での二点抜きを実行する。

ユリシーズゲートと防衛機の中間に一際輝く光球。

破片を受けながら、より加速していく2機。

向かうは巨大構造体の連結部付近の隙間。その隙間は搬送路なのだが高速で近寄るので決して大きくは感じられない。


同時に2機は姿勢を逆転させる。縦回転で逆向きにし、本体側のブースターを作動。制動を掛ける!

『マスター、オートパイロットに切り替えて下さい。サポートします。同時に耐衝撃体制に移行を‼』

「了解。ゲルは気持ち悪いのよね」

『堪えて下さい。作動開始』


逆噴射を行いながらゲート施設へと侵入。

メガサムソック・MkⅧは機体を僅かに回転させ、少し横を向く。


一瞬の交差、しかしスローモーション。


サイドモニターに意図せず目を向けるステア。

ユリシーズゲートのコントロールブロックが見える。

そのウィンドゥには父である設備長が。

いや正確には人影か?

たがいに視線を交えたと感じられた刹那・・・。


コクピット内はシートと床面の一部が少し下がりフードで覆われる。直後、特殊な衝撃吸収材が充填。

搭乗員保護機能である。

シートはフルフラットに成り操縦服の自由を固定して奪い、更にゲルによって熱と減圧から守る。生命維持装置は最小だが。

操縦服は動きを重視したものでシートやコクピットから生命維持機能を受けているからなのだが、地上に到達時の考慮が大きい。


2機は進行方向を逆転。

ゲート機能を開放した目映く輝きだした特異点空間に突入して行く。



視点がユリシーズゲートへと変わる。


「入りましたな」

「あぁ、これで思い残す事は無いよ。ギャザー・ギャゼラン君、役目を果たしてくれれば良い」

「娘を見送ってこれで終わりとでも?」

「なんだ責任かね?」

「いいえ、見納めに付き合うって事ですよ」

「酔狂だな」

「これは最初から決めていた事ですよ」


彼の元にメンバーが集まってくる。口々に帰還する事を薦めるが、彼は了承しない。

暫くの問答の後、残るのは二人だけとなった。


「ここはどのくらい持ちますかね?」

「ギャゼラン君、知っての通り機能的には限界だからな。きっと数時間だろう。それに」

「地上のピン・モニュメントですか」

「そうだ。アレが移動を始めたのは知っているだろう」

「ええ、立ち入り禁止の真実は決して公表されませんけど」

「完全にこの世界から消滅したら、いや、戻って行ったら此方はどんな影響が持たされるのだろう」

「分かりませんね。繋がれた二つの世界は断絶するのか融合するのか」

「それとも、どちらか消えるのか。或いは両方なのか・・・ギャゼラン君はどちらだと思うかね」

「私見ですが。分断が確実かと、お互いに残された人たちが受ける影響は未知数です」

「私もそう思う。それ以上に厄介なのは保守派がどう出るか」

「まあ、政治は門外漢なので」

「そうだな」


沈黙


「ギャゼラン君。礼を言うよ、付き合ってくれて」

「いえ、此方こそ。・・・良い経験になりました。人はどっちの地球でも同じでしたよ」

「だな」

「ええ」

二人は窓越しに収まり行く輝きの穴を見やる。


ゲートを通過したメガサムソック・MkⅧとMTMは、シャフトと呼ばれるトンネルの様な空間を飛行していく。

大気圏突入と異なり、ここで摩擦熱は発生しない。

空間遮蔽が継続しているだろうと考えられていた。

しかし、別の脅威が存在している。

時間障壁。

8分間のズレが高圧の衝撃波となって襲ってくる。

時空間跳躍の技術が紐解かれていなければ成し得なかった現象だ。


先にここを通過した調査船の後、実証用の試作跳躍艦が現在地上での活動拠点になっている。

すでに侵略なのだが。


やがて、地上が見えてくる。


次回、地上編。

もう一つの地球から見える世界観。ヒロインが先に登場しましたが今度はお相手となる男性が登場します。

ピン・モニュメントの到達時の様子と人々の行動や混乱を描けたらと思います。

あまり長くしない連載でしていきますので描き切れないかも知れません。


第二話「出会い、そして戦いへ」

少々長い文面になりました。

読了感謝します。

作中描かれる二つの世界ですが、時間軸の前後で分けていません。パラドックスを避ける為です。

平行して存在している別の世界、お互いに可能性の具現化した空間です。

二話以降で描いていければと・・・。


初投稿ですし色々とおかしな点が多々あると思います、「小説家になろう」での活動も初心者なのでおおらかな目で見て頂けると嬉しいです。


見て頂いた方に感謝を。評価を入れて下さって有難うございます。引き続き投稿させていただきます。

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