【2】
翌日。
あんな事があっても学校を休むわけにもいかず。
朝から机に伏して、ダラリとする私に、友人の祥子ちゃんがやって来た。
「芹菜〜!やっぱり、玉砕〜?」
イシシシっと意地悪に笑う。
「ま、ウジウジと恋に悩んで元気の無い芹菜なんて、らしくないし。思い切り振られて、あっさりさっぱりしたでしょう!」
「………」
「これで、私も伊東くんに約束取り付けた甲斐があるってもんよね」
「………」
そうなのだ…。
入学してから約3ヶ月。
伊東くんに一目惚れしてから、私の良き相談相手になってくれた幼馴染みで親友の早川祥子。
そして、昨日の告白を後押しして、しかも伊東くんに教室に行くように言ってくれたのは、この祥子ちゃん。
「それで、どうなったのか、ちゃ〜んと訊かせなさい!」
「………」
話さないといけない?
昨日の今世紀最悪で最低な出来事を…。
私はポツポツと力無く、話し始めた。
予想通り、祥子ちゃんはお腹を抱え涙を流しながらヒーヒーっと笑いが止まらない。
「や、ヤダ〜〜!!芹菜〜!!ちゃんと相手を確認しない、あんたが悪いーーっ」
その通り過ぎて、何も言えません。
「それで、どうするの?付き合っちゃったりするの?伊藤遼太郎と」
「ま、まさか!!ちゃんと言って、無かった事にするわよ」
付き合うわけ無いでしょう!好きでも無い人と!
昨日のアレは間違い!大間違い!!
私の好きな人は、伊東慧くんの方!
「でも、伊藤遼太郎はOKしたんでしょう!」
「…うん、…その、どうしてかな?」
と答えると祥子ちゃんに「あんた、そうとうボケてるわ!」と言われてしまう。
う〜、言い返せない!
いつもなら、「ヒドイーーっ!」なんて言って言い返せるのに…。
相手を間違えて告白してしまったのは事実。
ガックリと肩を落とす私に、祥子ちゃんはさらに笑い続けた。