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【11】

――と、いう事で土曜日。


遊園地にやって来た。


祥子ちゃんと遼太郎と伊東くんと私の4人。


ダブルデート。


本来なら、私と遼太郎がペア。


そして、祥子ちゃんと伊東くんという組み合わせが普通なのだろうけど、主導権は祥子ちゃんが握り、遼太郎を掴まえて次々とアトラクションへと誘う。


その後を、私と伊東くんが付いて行く。


こんな感じで、あっと間に1日が過ぎていく。



そして、最後にはお約束の観覧車。


夕焼けの中をゆっくりと空へ上っていく。


小さくなっていく下界を見下ろして「結構、上って来たね」って、一緒のゴンドラに乗る伊東くんに言う。


「そうだね」


とひと言、返ってくる。


祥子ちゃんが強引に遼太郎を連れて一つ前のゴンドラに乗ってしまい、私と伊東くんは次のゴンドラに乗る事に。


もうすぐ、一番上って所まで来た。


ここが、本日の最大イベント。ここを逃したら、もう二度とチャンスは巡ってこないと思う。


不運続きの私でも、ここまで続く事は無いと信じたい。


振られると分かっていても、自分の心に嘘は付けない。


どうせ、振られるなら想い人の口からはっきり言われた方が諦めも付く。


「――伊東くん…。あの日の事なんだけど…」

「あの日?」

「えーっと、教室で待ち合わせした時の事…」

「あぁ、あの時の事?僕が遅れて来た…」


私はオーバーにうんうんっと頷く。


「あの日、実は――告白…」

「まさか、遼に告白するなんて思わなかったよ」


「あ、あの、だから、それは、違…」

「僕が遼に言ったんだ。北條さんが教室に居るから、会ってちゃんと話してきたらって」


「…え?」

「あんな事もあったし、ちゃんと謝って気持ちを伝えた方が良いよって」


伊東くんが“あんな事”があった日の話をしてくれる。

遼太郎の好きな子が男子達の間にばれてしまい、ちょっとからかい半分で「告って来い」なんて言ってたと。


運良く――私にとっては、運悪く、その場に私がふら〜っと来たから、ますますふざけが過ぎて、その中の一人の男の子が遼太郎を強く押してしまったと。


バランスをくずしたまま遼太郎は、私にぶつかって来た。その反動で窓ガラスに激突!割れた窓ガラスの破片で腕を切ってしまったと…。


「それ以来、気にしてたんだ。北條さん、ピリピリとしたオーラを出して何か近付き難くなったというか…」

「………」


「だから、早川さんから北條さんが話があるっと聞かされた時、良い機会だと思って先に遼を教室に行かせたんだ。仲直りして、少しでも仲良くなってくれたらいいなぁ、と思って…」

「………」


そうしたら、付き合うなんてそこまで仲が良くなるとは思わなかったよ、と伊東くんは優しく笑って話してくれる。


最後に――僕達も悪かったんだ。今さらだけど、怪我させてごめんね、と……。







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