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【1】


【登場人物】



北條芹菜(ほうじょう せりな)  高校1年生

伊藤遼太郎(いとう りょうたろう)

伊東慧(いとう けい)    遼太郎の親友

早川祥子(はやかわ さちこ)  芹菜の親友


――告白する。


それは、生きていく中でそう何度も何度も経験するものじゃない。


まして初めての時は、決意したものの、きっと舞い上がって周りが見えなくなって、もう成り行きと言うか、その場の勢いと言うか…。


当たって砕けろって感じだと思う。


実際、砕け散るのは嫌だけど…。




放課後。


もう下校時間が迫っていて、校内放送が流れている。


教室に人が一人、入って行くのを廊下の隅で確認する。


(約束通りに来てくれた…)


こんなに心臓がドクドクと早く動いた事なんて未だかつて無いと思う。


手には汗、呼吸を忘れてしまうほど、酸欠状態で息苦しくなっていく。


ここまで来て、後戻りは出来ない。


ありったけの勇気と度胸を掻き集めて、ぐっと拳を握る。


私は教室の戸を開け、中に入り、教室内に居る人の前まで進む。



「イトウくん!――あ、あの、好き――です!つ、つ、付き合っ――」



最後まで言えなかった。


ガラっ!と教師室の戸が開く音。


この一世一代の告白の現場に誰よ!邪魔しに来たのはーっ!!


(あ!――あぁ〜〜〜〜〜っ!!)


教室に入って来たのは、私の想い人、伊東 慧くん。


(???)


って事は私の前に居る人は?


恐る恐る顔を上げ、その人物を確認する。


「……っ!」


サーーッと血の気が引いていく。


イトウはイトウでも、目の前には居るのは伊藤遼太郎。



「北條さん、ごめんね、約束してたのに少し遅くなって――それで、話って何かな?」



伊東慧くんは、話しかけてくるけど、私は完全に放心状態。


「…え、えーっと…」


いや、待て!


まず、こっちの伊藤遼太郎の方をなんとかせねば!!



「あ、あのね!伊藤くん。さっきの話、無かっ――」

「慧!聞いてくれよ!!俺、北條と付き合う事になったから!!」


……え?……えぇ〜〜〜〜〜っ!!!!!



「ちょ、ちょっと…!!」



伊藤遼太郎は伊東慧くんに、告白をされ、受ける事にしたと話している。


慧くんも「良かったね」と嬉しそうに笑っている。


二人は親友同士。仲良く笑い合っている。



「あ、あの…!!」



声が掛けづらいけど、この場の誤解を解かないと!


「あ、僕は先に帰るよ。遼と仲良くね!」


と言って、私の好きな伊東くんは去って行く…。


伊藤遼太郎と二人、残されても…!!困るんです!!


って、言うか、私の告白はどうなるのよ〜〜っ!!



「北條、帰ろうか」



そ、そんなに嬉しそうに、少し照れて笑い掛けないでよ。




この告白、無かった事にならないの?





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